第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#END
戦慄の暗殺者FINAL 〜LAST IMPRESSION〜
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、生きる理由や希望と呼べるモノは、これで何も無くなってしまった。
己が身を引き裂き、心凍てつく程の、深い【絶望】 によって。
「……」
そのフリアグネの白い頬を伝う、
何よりも冷たい、ひとすじの雫。
彼の心にまだ微か遺っていた、最後の涙の単結晶。
ソレが、瓦礫の水面へと落ちた。
みんな……
みんな、離れていく。
大切な者は。
本当に護りたい存在は。
みんなみんな。
遠くへ行ってしまう。
自分を、置いて。
無情なる因果の交叉路の直中で、
フリアグネはただ哀しかった。
ただただ、哀しかった。
「…………ッッ!!」
流法の放つエメラルドの光に照らされながらその場に立ちつくすフリアグネに向かい、
シャナは足元の大刀を手にして斬りかかっていた。
「……」
しかし、フリアグネは “それより速く” 向き直って手にした銃の、
死の銃爪を引き絞る。
「!!」
無限の精神の暗黒で充たされた、虚無の瞳で。
皮肉な事だが、“何もかも失った事によって”
“狩人” フリアグネの精神は、
完全に 「昔」 の状態へと戻っていた。
虚ろな心のまま、ただただ 「宝具」 を簒奪する事のみに明け暮れていた、
しかしその戦闘能力だけは 「絶頂」 で在ったアノ頃に。
その 「純粋」 な彼に、至近距離での抜き撃ち合いに勝てる者など誰もいない。
どんな紅世の王でも、フレイムヘイズでも、絶対に。
ソレが銃と剣での勝負なら尚更のコトだった。
銃口から迸る、死の閃光。
白い、マズルフラッシュ。
渇いた、射出音。
そして。
そし、て!
“既にその二つの存在よりも迅くッッ!!”
“三つ目の” 存在がシャナの背後から、
けたたましい破壊音と共に鉄製の扉へ掛けられた南京錠を鎖ごとブチ破り
極限の速度でプラチナの弾丸のように空間に飛び出してきていた。
眼下のエメラルドの光と同じ、
否、ソレ以上のスタンドパワーの輝きを携えた
『白金の旋風』
ソレが、一瞬でシャナの脇を通り過ぎ限界を超えたスピードで、
全身からスタンドパワーを迸らせながら眼前のフリアグネに向かって
一迅の流星のように翔け抜けた。
「!!!!」
その顔に、もうこれ以上ないというくらいの喜びを浮かべようとするシャナの
深紅の髪が捲き起こった烈風により一刹那遅れて空間に舞い挙がる。
甘い麝香の残り香を感じると共に灼熱の歓喜が
凄まじいまでの勢いで少女の全身を駆け巡り
精神の裡を狂おしい程に灼き焦がす。
炎髪の撒く深紅の火の粉と灼眼の放つ真紅の煌めきと共に。
そう。
「約束」 したから。
来てくれると、想ったから。
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