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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第12話『奇妙な平等者』
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いた。その言葉の意味を呑み込み、理解しようとして更に驚愕する。

『この男は今、魔族を肯定したのか?』、と。

「うん?何を驚いた顔してんだよ、おかしな事言ったつもりはなかったんだが……おっと、俺のハンサムに改めて驚いたとかかい?それなら存分に見てくれてかまわねぇぜ?──っと、ありゃ?」

「いや、違っ、そうじゃなくて……!」

 慌てて言葉を探すメイリアを尻目に男はいきなり立ち上がり、懐の布袋から一枚の銀貨を取り出す。それを二人の前に置くと、男は「急用だ。悪いな」などと言って立ち去ろうとする。明らかにその動作は不自然極まりなかったが、今はそれを気にしてはいられなかった。

「ちょっ、待って!今のどういう……!」

「そのままの意味さ。相手が誰であれ、最低限の礼儀は尽さなきゃいけないのが世の常ってもんだろうよ。あぁ、釣りは取っときな」

 言い残した男はそのまま勢い良くテラスに足を掛け、外に身を乗り出そうとする。が、思い留まったように足を下ろして一旦テーブルに戻ってくると、未だ面食らった表情の二人に駆け寄り、頭を近づけて囁くように告げた。


「──また機会があったら会おうぜ、『円環』の魔法使いに、『不変』の死徒のお嬢さん」


 その言葉の意味を問い質す間も無く、クーラルはテラスから躍り出てしまう。メイリアがすぐさま追おうとテラスに身を乗り出しても、その姿は捉えられなかった。
 その影を何処にも見つける事ができず困惑するメイリアの瞳に、見覚えのある蒼が映り込む。ガチャガチャとした喧しい金属音が耳に届き、陽光を跳ね返す鈍色の鎧がいやに目障りだった。
 見慣れた黒に小さく白と赤が混じったようなメッシュの髪は、知り得る限りでは一人しか持たない。けれど、メイリアが覚えている彼は一人で行動していた筈なのだが――えらく、大所帯ではないだろうか。

「……何してんだ?メイリー」

「いや、それはこっちの台詞なんだけど」

 約数十人は居るであろう武装集団を引き連れたジークが、テラスの下に立っていた。
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