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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第12話『奇妙な平等者』
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い道化を演じていながら、頭では常に相手の行動の先を想定している。それでいてそういった心配の言葉は本気で言っているようなのでタチが悪い。敵対するだけ無駄なように思えてくるし、実際そうなのかもしれないが、やはり警戒を緩める事は出来なかった。
 しつこいようではあるが、数少ない彼女の友人として、彼女を貶めた種族である人間の一人として。二度と、彼女(スィーラ)の悲しむ姿は見たくないのだ。

「……そういや、ヴァリアゾードの方でなんかデカい事件があったんだとさ。どっかの変な死徒が魔族を大量に呼び寄せて、町一個潰しかけたって話だ。魔族は現地に駆けつけた『対魔傭兵(リ・メイカー)』達が討伐したって事なんだが、町の住人達が力を合わせてその死徒を追い払ったんだってよ。全く、ひっでぇ話だな」

 ピクッ、と。
 スィーラの肩が震え、バツが悪そうに顔に影を落として俯いてしまう。彼女からすればアレがとんでもなく辛い一件だったのはメイリアとて理解しているし、それ故にこのタイミングでその話題を振ってきた男に、多少なりとも怒りが湧き出す。
 それが理不尽なものだという事は分かっていても、どうしても思ってしまうものは仕方ない。彼からすれば当の本人である死徒が目の前にいるなど予測も出来なかっただろうし、知る由もないのだが、それでも無意識に拳を握り込んでしまう。

 ――酷いのはどっちだ。

 そう、言い返したくなった。けれど、それはなんとか耐えねばならない。この村においても彼女の居場所を奪うなど、出来ようはずもない。その為にも、今は耐えなければならないのだ。彼女を擁護することすら、彼女の立場を悪くしてしまうことに繋がる。

「その死徒は町人を守ったって話なんだが、それもマッチポンプ。町の信頼を受けることで、町に取り入って好き放題しようとしてたって聞いたな。全く、とんだ阿呆共だよ」

 ギリッ、と。
 無意識に歯を食い縛る音を自分の口から感じ取って、即座に中断する。硬く、硬く握り込まれた手の甲には僅かに血管が浮き出ている。耐え難い怒りを抑える為に、バレない程度に僅かに唇を噛んだ。

 何も知らないくせに。

 真っ先に浮かんだその声を心に押し留め、冷静になろうと努力をする。頭を冷やして、客観的に言葉を聞き流す。そうして頭を整理していくうちに、ようやくその違和感に気が付いた。

「……阿呆()?」

「あぁ、とんだ馬鹿共だよ『町の連中』は。自分達の命の恩人に罪を全部擦りつけて、あまつさえ『町に取り入ろうとしてた』だぁ?ふざけんじゃねぇってんだ」

 ──至極当然のように。

 僅かにその額に青筋を浮かばせたクーラルが、愚痴を吐き散らすように明後日の方向を睨む。その言葉にスィーラが僅かに目を見開き、メイリアもまた驚愕に口をポカンと開
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