暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第19話 暗夜に潜む者
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ソラに武器を手に持つように指示してから、自分の後ろについてくるように伝えてから、キリトたちの元へ慎重に戻っていく。もちろん僕もカタナを持つことを忘れない。
 向こうを見ると、ローブのプレイヤーは右手にある短剣でピックを弾くことに成功したらしく、緑色のHPゲージは一ドットも減っていなかった。キリトやニナさんも片手剣を構えている。
「――速いな〜、さすが《疾風》て呼ばれてるだけはあるね。あっという間にソラくん盗られちゃった。ユウくん、泥棒の才能あるんじゃない?」
 僕とソラがキリトとニナさんでローブのプレイヤーを挟み撃ちにするような陣形をとった頃、ローブの奥から静かに声が聞こえた。
 声は僕やキリトよりも幾分か低い。声を聞くことで、ようやく性別を判断することができた。
 僕はさらに一歩前に踏み出し、カタナを突きつけながら口を開いた。
「知りませんよ。第一、あなたの方が泥棒に向いてるんじゃないですか?」
「オレには無理かな〜。あんなチマチマしたのやってられないよ」
「……ひとつだけ聞きます。……何で、こんなことしたんですか?」
 おそらくこの場にいる全員が思っていることを簡略化し、伝える。
 僕の言葉にプレイヤーは右手を挙げて、フードの中にあるであろう顎の辺りに置いた。
「何で、か……なかなか難しい質問だな〜」
「は……?」
 思わず口から間の抜けた声が漏れる。
 だが、相手は本当に悩んでいるようで、頭を少し横に傾けたまま腕を組んでしまった。
「強いて言うのなら気になったから、かな。ユウくんがソラくんの姉であるニナさんを斬り伏せてしまったときの反応が」
 まるで今日の朝ごはんは何だったかを説明するかのように、プレイヤーは平然と言ってのける。
 あまりにあっさりと言われたからか、それとも言われた内容の衝撃からなのか、一瞬反応が遅れる。
「な、何……言ってるんですか……?」
 左手に持っているカタナがカタカタと勝手に震える。それが怒りからなのか恐怖からなのかは自分でもわからない。
「でも、カタナってオレが思ってたよりも攻撃力が低いのかな。どれだけユウくんが斬ってもまったくニナさんのHP減らなかったし。こりゃ、ユウくんがまだ曲刀使ってた頃に実行したほうがよかったかもね」
「ふ――」
 ざけるな。
 僕がそう言う前に、一陣の風が巻き起こる。
 気づくとニナさんが接近し、プレイヤーに向かって片手剣を一閃していた。片手直剣単発ソードスキル《スラント》だ。
 だが、プレイヤーはローブを翻しながら、同じく短剣の単発ソードスキルで相殺していた。二つの軌跡がぶつかり合い、激しい火花を散らす。
「おっとっと、危ないな〜ニナさん。いきなり何するんですか、怖いですよ」
「うるさい。今ここでぶった斬る」
 感情剥き出しの言葉を絞り出すよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ