暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第19話 暗夜に潜む者
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のもあたしに気にしないでいいから。別に攻撃したりしないし」
「黒いのって……一応キリトって名前があるんだけど……」
「そう、じゃあキリト頼むわ。あたしの代わりにソラを助けてあげて」
「……任されました」
 いつの間にか三人の間に奇妙な信頼関係ができつつあることに、少し?と気が緩みそうになりながら、僕は口を開いた。
「じゃあニナさん、そういうことでよろしくお願いします。――じゃあ、キリト。カウントするよ」
「わかった」
 一度深く息を吸ったあと、腰を低くして走りやすい体勢をとる。カタナには手を伸ばさず、ただ走ることだけに集中する。
「三……二……一……ゴー……っ!」
 声量の小さな合図とともに力強く左足を前に出す。今まで鍛えてきた敏捷性をフルに活かし、少し歩幅を小さくして走る。
 そんな僕の隣をヒュン! と空気を切るような音と水色の光が通る。キリトの投げたピックだ。
 やはり、ソードスキルのシステム的な補正のかかったピックには絶対に追いつける気がしない。まるで足が速い人とかけっこをやってるような虚脱感が迫ってくる。
 だが、それでも走る速度は落とさない。気持ち足にかける力を大きくしながら、両腕も全力で振る。
 僕の足音なのか、危険を察したのかフードで隠れた顔がこっちを振り向く。
 相手は一瞬固まったような素振りを見せたあと、腰に差していたらしい短剣を構えた。
 時間に換算すれば一、二秒程度のもの。だが、それだけあれば今の僕には十分だった。
 姿勢をさらに低くし、体重を前に乗せる。コケるリスクがかなり高まるが、走る速度もさっきとは段違いになる。
 一気に距離が縮まり、ローブに包まれるようにしていたソラが僕を姿を確認し、目を大きく見開いて驚く。
「うわぁ??」
 ヘッドスライディングのような形でソラの腰を両手で掴む。そして、ソラを脇に挟むような体制に切り替えてから、そのまま走り過ぎ、五メートルほど距離が離れたところで足に急ブレーキをかけた。地面が少し乾燥した土だったことにより、土埃が舞う。
 何とか作戦が成功したことによる安心感から、息を深く吐きながらソラを下ろす。
「まったく……ダメだってソラ。知らない人についてっちゃ。キリトに言われたでしょ? 待っててって……!」
 僕は無意識に少し語気が強くなるのを感じながら、ソラの頭に軽くチョップを落とす。
「いたい!」と苦痛の声を漏らし、ソラは両手で頭を押さえる。……こういうことがつい先日あった気もするな。
「だって、ユウ兄ちゃんの知り合いっていってたから……」
「僕にあんな全身布に包まれた知り合いは一人もいないよ……。とにかく、勝手に自分の知らない人についていかないっ! わかった?」
「うん……ごめんなさい……」
「よろしい。じゃあ、これ何とか終わらせよう!」
 
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