暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第19話 暗夜に潜む者
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しら……)
 人間には喜怒哀楽が存在すると言われている。だが、ユウは怒の部分だけきれいに抜き取られたような――ニナには、そんな気がしてならなかった。
 ユウはニナから視線を移し、再び前を向く。
「まあ、でも……ソラを誘拐したプレイヤーに対しては、思うところがないわけじゃないですけど、ね――」
 今までよりも一段階低いトーン――ニナは反射的に背筋に寒気がするのを感じた。キリトもニナと同じだったのか、軽く目を見開いている。
 ユウの豹変ぶりに、二人は思わず黙り込む。
 しばらくすると、いつも通りの表情をしたユウが二人に向かって振り向いた。
「そろそろ着きますよ。気をつけてくださいね」
 ユウの言葉に、ニナは気持ちを切り替え、背中にある片手剣の柄を軽く指先で触れた。

   *

「――さて、と……どうしようかな……」
 僕は目線は動かさずに自分の後ろにいる二人に話しかける。
 視線の先にいるのは、ソラと見知らぬプレイヤー。
 見知らぬ、と言っている通り、僕はまったく知らない人物だ。
 かといってソラの知り合いなのかといえば、隣を歩いているソラの態度や挙動を見る限りではそうは思えない。何なら、その素材の色からなのか暗めの亜麻色のローブを全身にまとっているため、顔も見えないし、性別すらも判断できない。
「……今日は、フード被っている人とよく会うな〜……」
 今後ろにいるプレイヤーも最初はフード被ってたし。今回も女性なのだろうか。
 小さく呟いた僕の言葉は二人には聞こえなかったようで、キリトが僕の疑問に応えた。
「やっぱり正面から対峙するのはまずいだろうな。向こうにはソラがいるし、人質にされたらこっちは何もできない。何とかしてソラとあのプレイヤーを引き離さないと」
「引き離す、かぁ〜……」
 数秒考え、僕は思いついたことをそのまま伝える。
「キリトの投剣スキル、狙った場所に確実に飛ばせる?」
「ああ、自分で言うのも何だけど、外すことはないはずだ」
「じゃあ、キリトが牽制としてでいいから、相手に直接当てなくていいから、投剣スキルで不意打ちしてくれない? その隙に僕がソラをかっさらうから」
「俺は大丈夫だけど、お前いけるのか? あれだけ密接した距離にいるなら投剣スキルと同じとはいかなくても、かなりの速度で移動しないと駄目だぞ?」
「そこは大丈夫。全力で走るから」
 僕はニッと笑いながら応える。
 完全に納得が言ってないようなキリトの顔を見たあと、今度はその隣にいる女性プレイヤーの方を見る。
「じゃあ、そういう手はずなので。えっと……」
 そういえば、このプレイヤーの名前を知らなかった。どう相手を言えばいいか悩んでいると、
「ニナよ。あんたの言いたいことはわかったわ。あたしは、この黒い方のバックにいるから。黒い
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