暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第19話 暗夜に潜む者
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うに呟いたあと、ニナさんは戦闘を続行した。
 互いの剣を打ち落とし合い、互いの剣が空を斬り裂く。
 すさまじい斬り合いの応酬だった。攻略組同士のデュエル並みに高いレベルが繰り広げられる。
 ニナさんの片手剣による剣技をプレイヤーは短剣で完璧に防御されていく――まるで、自分にとっては簡単だと言わんばかりに。
 しかし、ニナさんも負けていない。たまに繰り出されるカウンターを難なく捌き、猛攻を再開する。
 ――だが、そんな戦闘が続いたのは一分も保たなかった。
「……ッ!」
「どうしました? もしかして疲れてるんですか?」
 フードを被っていてもわかる。プレイヤーの口元がつり上がっていることが。
 プレイヤーの言う通り、ニナさんの疲労が顔を出し始めたのだ。ここに来るまでに、ニナさんは僕との戦闘も行っている。あれだけハイレベルな戦闘をしたあとでは仕方のないことだ。むしろ、よく続けた方だといえるだろう。
「くそ……っ!」
 ニナさんは毒づきながら、苦し紛れに片手剣を上段に構える。
「ニナさんっ! ダメだ!」
 反射的に叫び、身体が動いていた。
 プレイヤーの背後に飛び込み、左手にあるカタナを斬り払う。ソードスキルではない。だが、今まで自分でも見たことないほどの刀速で放たれる。
 さすがのプレイヤーも驚いたのか、ギリギリで短剣がカタナの軌道に割り込み、防がれる。しかし、刀速と遠心力の力が思っていたよりも強かったのか、一メートルほど吹っ飛ぶ。
「ひどいな〜、ユウくん。後ろから攻撃するなんてさ」
「……あなたにだけは言われたくないですよ……」
 プレイヤーのフードが勢いでふわり、と舞って外れる。
 表れたのは、整った青年の顔だった。見た目からして年齢は高校生ぐらいだろうか。優しそうな見た目とさっきまでの言動がマッチしない。
 僕は、このプレイヤーと出会った記憶はない。流れからすると、ニナさんは会ったことがあるはずだ。
 そう思い、上段斬りの構えを解いたニナさんの方を見ると信じられない、といった顔をしていた。
「あんただったの……? ザド」
 ニナさんの言葉に、《ザド》と呼ばれた青年は口元の笑みをさらに深くした。
「そうだよ。さっきまでわざと声低くして喋ってたからね。わからなかっただろ?」
 右手にある短剣を器用にくるくると手中で回しながら、彼の言葉は続く。
「あと、言っとくとオレの名前はザドじゃないよ。オレのアバターネーム(本名)は秘密さ。また会った時にでもバラすよ。お楽しみってことで」
「あんた、この状況で逃げ切れると思っているのか?」
 ニナさんの後ろから顔を険しくしたキリトが片手剣を突きつけながら、そう返す。すると、ザド――と名乗るプレイヤー――は少しつまらなさそうな、残念そうな顔をした。
「《黒の剣士》キリト
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