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SAO−銀ノ月−
第二十七話
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トをあたしが教えようとした時、ショウキから彼の愛刀である日本刀《銀ノ月》が手渡される。
その表情は、少し真剣な表情をしていた。

「刀をインゴットにするデメリットは俺も知ってる。……一応、鍛冶スキルも上げてるしな。それに」

 そこでショウキは表情を変えて、いつもの気さくな笑いを顔に浮かべた。

「リズなら大丈夫だろ、信用してる」

 ……一体どうして、あんたはこのデスゲームで……いや、MMORPGでそう、人に全幅の信頼をおけるの?
……だけど、彼のそういうところが好きなのかもしれない……危なっかしくて、放っておけなくて。

 だったらあたしは、その信頼を裏切ったりしないようにする。
ショウキの手から日本刀《銀ノ月》を受け取って、工房のレバーを倒してふいごに火を通し、炉を稼動させた。
あっという間に炉は真っ赤に染まり、いつでも初めて良い準備は完了する。

「……本当に、良いの?」

「ああ、構わない」

 あたしの最後の確認にも、ショウキはサラリと頷く。
それは自らの愛刀を軽んじているわけでは決してなく、ただただあたしを信頼しているだけだということが分かる。

「……入れるわよ」

 ショウキの愛刀である、日本刀《銀ノ月》を炉にそっと入れると、料理を始めとする大体のことが簡略化されているこのアインクラッドのこと、手早くインゴットになった日本刀《銀ノ月》を炉からヤットコを使って取りだす。
……これでもう、後戻りは出来なくなった。

「それじゃ新しいカタナを造るから、造るのに使うインゴットを用意しておいて」

 あたしが愛用の鍛冶用ハンマーを取りに行っている間に、言われたショウキはアイテムストレージから二種類のインゴットを取りだしていた。
一つはあのゴーレムから取れたダイアモンド・インゴットで、もう一つは元々日本刀《銀ノ月》を強化するために使う予定だっただろう、銀色のインゴットだった。
確かに最高峰のインゴットを重複させて使えば、出来上がるカタナもそれ相応の業物になるだろう。

「良いの? そのインゴットも使って……」

 だけど、失敗した時は当然無駄になる……そんなことは知ってるだろうに、ショウキはあっけらかんと言ってのける。

「さっきも言ったろ、大丈夫だって。……それとも、成功率低かったりするのか?」

「そ、そんなわけ無いじゃない!」

 そう、あたしの鍛え上げた鍛冶スキルならば不可能な依頼じゃない。
今まで受けた中で、最も難しい依頼なのは確かだけれど。

 三つのインゴットを炉に入れ、少し待つ。
鍛冶のコツは、武器を造る時は余計なことを考えず、ハンマーを振る右手に意識を集中させ、無の境地で打つべし――ということなので、深く深呼吸をする。

 その間に、インゴ
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