第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#24
戦慄の暗殺者] 〜Final Prayer〜
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めて……
討滅……して……あげる……壮麗なる……紅世の王……
“狩人” ……フリアグネ……』
自分の周囲円周上全てを、煌めく紅蓮の燐光と共に疾走る紅い幻影が。
ありとあらゆる方向から響き渡る、神霊な少女の声が。
静かに終末の訪れを告げる。
撃つべき 「手」 は全て完全に封じられた。
あまりにも疾過ぎて 『トリガーハッピー』 は命中しない。
純白の長衣 “ホワイトブレス” も同じ事。
残った宝具は、燐子自爆能力を持つ背徳の魔鐘
“ダンスパーティー”
しかしあの疾さでは。
燐子を 「召喚」 した時点で全てバラバラに切り刻まれるだろう。
否、ソレ以前に召喚系自在法を執る際の無防備状態を狙われれば、
ソレだけで一瞬にして首筋をカッ斬られる。
フリアグネは、己の現状を呪った。
『アレだけ疾ければ』
フレイムヘイズ自身も、己の動きについていくだけで精一杯の筈。
つまり、攻撃に特化しているが故に、“防御にまでは対応出来ない”
故に広範囲を一度に攻撃できる “爆破系自在法” なら、
どんな小さなモノでも発動させれば必ず命中たる。
カウンター効果でその威力を数倍にも増大させて。
なんとか、なんとか 「一体」 だけでも、
“燐子” を召喚出来れば、閉塞状態に陥った現状を
打破出来る 「楔」 を撃ち込む事が出来るのだが。
(燐……子……?)
フリアグネは、無意識に自分の胸の中の存在を見つめていた。
そして、永い経験で培われたその戦闘思考能力は、
本人の意志を無視して一番合理的な方法を紡ぎ出す。
これもまた、遠隔暗殺能力に特化した “狩人” の本能。
しかし、 「その事」 を認識したフリアグネの全身を、これまでにない戦慄が劈いた。
(私……は……私は……ッ!
一体いま……“何を考えた……ッ!?”)
フリアグネは、激しく己自身を呪った。
全身を引き裂いて引き千切り、灰燼も遺らない程に焼き尽くしてやりたいと
想うほどの憎しみを抱いた相手は、
皮肉にも己が 「宿敵」 である “フレイムヘイズ” ではなく
それと対峙する “自分自身” だった。
「……」
蒼白の主の表情から意図を察したのか、
胸の中のマリアンヌが静かに問いかける。
「ご主人……様……?」
その声は、何よりも甘く、何よりも優しく、
そして何よりも哀しくフリアグネの耳に届いた。
「ダメだッ! マリアンヌッ!」
両腕で細身の躰を包み、全身を駆け回る吐き気と怖気を堪えながら
フリアグネは叫んだ。
「ご主人様……ッ!」
まるで懇願するような、悲哀と慈愛に充ちた最愛の者の声が
再び耳に届く。
「ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ
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