第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#24
戦慄の暗殺者] 〜Final Prayer〜
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胸元の “マリアンヌに及ぶことを”
真に恐れた。
「フッ……ッ!」
シャナは無表情のまま一度鋭く呼気を吸い込むと、
残像が映る程の超スピードで足下の瓦礫を踏み砕き、
フリアグネとはあさっての方向に超低空で疾風のように跳躍する。
(!?)
炎髪の撒く火の粉によって陽炎を残しシャナはフリアグネの側面に高速移動すると
そこで一度動きを完全停止させ、陽炎の揺らめきが終える刹那、再び元の場所、
寸分違わぬ位置に同じ軌道で移動する。
同じように今度はフリアグネの遙か頭上を飛び越え背後に着地、
その後眼にも止まらぬ音速移動で彼の脇につく。
「ッッ!!」
咄嗟にフリアグネは “ウィンザレオ” で目の前を薙ぎ払うが、
もう既に少女の姿はない。
そのスピードが速過ぎて、本体は疎か残像にすらも攻撃出来ない。
そしてシャナは、ソレと同じ動作をフリアグネを中心点とする円周状にて
何度も繰り返す。
寄せては返す 漣 のように、
速度に、軌道に、その精密な足捌きに 「緩急」 を付けて、
フリアグネの周囲を円球のドーム状に覆っていく。
(!?)
その少女の不可思議な動作に、やがて変化が起こり始めた。
正確には、ソレを目で追う “フリアグネの五感に” 変異が引き起こされた。
(なッ!? バ、バカなッッ!? げ、幻覚か!?
あのフレイムヘイズの小娘の姿が、分身?
否、そんな次元じゃない! 「増殖」 して見える!? )
手にした長衣で目元を拭ってみるが状況に変化はない。
目の前にいるフレイムヘイズは確かに一人、
しかし今の動作に 「緩急」 を付けて音速及び低空移動を続ける少女の姿は、
フリアグネの視覚には無数に 「分裂」 して視えた。
まるで、巨大な騙し絵の中に、自分が閉じ込められたかのように。
(もっと速く……もっと速く……!)
取りあえずはフリアグネの事は無視しておき、
シャナはこれから刳り出す 「奥義」 の発動のみに
その全神経を研ぎ澄ます。
幾多に及ぶ戦闘訓練で、今まで一度も成功した事のない未知の 『超絶技』 を。
実戦のこの場で以て、無謀にも決死の試みを敢行する。
(もっと|疾《はや)く……ッ! もっと疾く……!!)
舞い踊る気流の中、脳裡に甦る、あの人の言葉。
何度やっても一度も成功せず、ほとほとイヤになってソファーの上に倒れ込み
悔しさで涙ぐんでいた時に、いつの間にか隣に腰掛け優しく髪を撫でてくれていた
あの人の、温かなアノ言葉。
『シャナ? 「結果」 だけを追い求めようとするな。
「結果」だけを追い求めると、人は近道しようとするものじゃ。
やる気も次第に失せていく。
大事なのは、“自分はいつか出来る” という 『真実』 に
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