第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#24
戦慄の暗殺者] 〜Final Prayer〜
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炎の大爆裂に換えて。
死して尚、己の想いを貫いた。
「あ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――――――――――――――ッッッッ!!!!」
空間を覆う白い爆炎の中から飛び出した、
人型の炎の塊が崩落した瓦礫の上に勢いよく叩きつけられる。
同時に、屋上中域を覆っていた紅蓮の光塵結界も掻き消える。
爆炎でズタボロになったセーラー服。
焼け焦げた胸元のリボン。
そして華奢な躰から、長い炎髪から、
多量の水滴が蒸発するような音と共に白煙が幾筋も空間に舞い上がった。
「…………………」
剥き出しの、生身に近い状態で死の白炎の至近距離での直撃を受けた
フレイムヘイズの少女。
瓦礫の海に仰向けの状態で、
瞳孔が裏返り白一色の双眸で完全に失神していた。
その傍らには、先刻まで刀身全体を覆っていた炎が掻き消えた
贄殿遮那が無造作に転がっていた。
その意識を断たれたフレイムヘイズの、
先に立つ者は。
今や、無限の精神の暗黒に支配された、哀れなる紅世の王。
「…………………」
前髪でその表情が伺えないまま、
まるで幽鬼のように虚ろな足取りで、
糸の切れたマリオネットのような狂った歩調で、
気絶しているシャナの脇を通り過ぎ
「彼女」 の許へと歩み寄る。
瓦礫の海でただ一人、笑みの口元のままで浮かんでいる、
肌色フェルトの人形の元へ。
最愛の、マリアンヌの元へ。
「誰が……そんな勝手な真似をしろと……言ったんだ……?」
右腕が焼け落ち、左足が毀れ落ち、特製に設えた清楚な服も
今や爆炎でボロボロとなり、そして、全身無惨に焼け焦げた
マリアンヌの亡骸を、フリアグネは優しくそっと掬い上げた。
「どうした……? 返事をしろ……? マリアンヌ……」
そう言って静かに、灼けたその身体を微かに揺すり、
口調が一度も彼女に使ったのない命令調になる。
でも、もう、優しい言葉では足りなかった。
乱暴でもなんでも良い、ただ彼女に傍にいて欲しかった!
「何か……言え……よ…………ッ!」
しかし、言葉は虚空に消え去るのみ。
フリアグネにしか見えない、彼女の幻影がたゆたうのみ。
「笑えよッ! マリアンヌッッ!!」
透明な温かい雫が、手のひらの中で静かに眠る
マリアンヌの亡骸に何度もかかる。
何度も。何度も。
ズン、とフリアグネの両膝が重く瓦礫の上に堕ちた。
そし、て。
「ア……アァァ……ア……ッ!」
震える全身から、その口唇から、
悲哀と絶望に充ち充ちた魂の慟哭が
白い封絶に覆われた屋上全域に鳴り響く。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァ
ァァァァァ―――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!」
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