第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#24
戦慄の暗殺者] 〜Final Prayer〜
[11/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ァァァァァァァァァッッッッ!!!!
“ソレだけは” 絶対に!! マリアンヌッッ!!」
まるで依るべき者を失った子供のように、フリアグネはその表情を崩壊させた。
「ご主人様……ッ! でも……! でも……!」
“このままじゃ貴方の御体が!”
マリアンヌがそう叫ぶより前に、フリアグネが彼女の声を断ち切った。
「私は君がいれば! 君さえいれば! 他に何もいらないんだ! ずっと一緒にいよう!
今までもこれからもいつまでも! ずっと! ずっと! ずっと!」
今にも泣き出しそうな、まるで幼子のような表情で
フリアグネは悲痛な声で懸命に叫ぶ。
「君が! 君が私に教えてくれたんじゃないか!
今まで! ずっと独りきりだった私に! ずっと 「孤独」 だった私にッ!
紅世の宝具をただ簒奪することのみに心血を注いでいた私にッ!
君が生まれて初めて! 存在の灯火を与えてくれたんじゃないか! 」
「ご主人……様……ッ!」
感極まった涙ぐんだ声で応じるマリアンヌに、
フリアグネは尚も胸元の彼女に向かって叫ぶ。
「そうさッ! 君が! 君が私に教えてくれたんだ!
温もりも優しさも愛しさも何もかも!
生きる事の喜びさえも! 『幸福』 を私に与えてくれたんじゃないか!
君が! 君だけが! 」
そう。
全ては、「彼女」 が始まり。
彼女がいなければ、途轍もない絶対的な存在に平伏し
忠誠を誓おう等とは想わなかっただろう。
彼女がいなければ、紅世の徒でもない 「人間」 という存在を、
己が友として受け入れようとは想わなかっただろう。
何故なら、それまでの自分の生涯など、
虚無に等しき日々だったのだから。
何もかも、“自分すらもどうでもいい” 時の流れの中、
ただただ 「宝具」 を奪う事で淋しさと虚しさを紛らわせていただけなのだから。
全ては、 「彼女」 がいたから。
いて、くれたから。
自分という存在は初めてその殻を破り、他の存在へと手を伸ばす事が出来た。
出来る事なら、今すぐ剣等を手離して彼女を包み込んであげたい。
彼女を護る為なら、自分の身等どうなろうとどうでも良かった。
しかし、無情にも。
マリアンヌは涙で歪んだフリアグネの視界、
その一瞬緩んだ僅かの暇に最愛の主の胸元から意を決して抜け出す。
その肌色フェルトの左手に、
“ホワイトブレス” の中に収蔵されていた破滅の魔鐘
“ダンスパーティー” を携えて。
「お赦しくださいッ! ご主人様! 」
「マリアンヌ!?」
マリアンヌは、生まれて初めて、最愛の主の命令に背いた。
最愛なる存在を護る為に。
その燐子が行き着く先。
眼前に拡がる、悪夢と破壊の滅砕陣。
紅蓮の光塵結界、フレイムヘ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ