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英雄伝説〜菫の軌跡〜(閃篇)
第10話
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。」

そして二人が草原に寝転んで満天の星空を見つめているとやがてアリサが口を開いた。



「―――――8年前だったわ。技術者だった父が亡くなったのは。それをきっかけに、私の家は大きく変わってしまった。当時、取締役だった母は事業拡大に没頭するようになって……”家族”を殆んど顧みなくなったわ。」

「そうだったのか……………確かに、随分やり手というか凄腕といった女性だったけど。」

「実際は、ルーレ駅で会った印象の数倍くらいは強烈でしょうね。一緒に食事できる機会すら3ヵ月に1度あるかどうか………代わりに一緒にいてくれたのがお祖父様と、シャロンだったの。」

「そうか……シャロンさんとの付き合いも結構長いんだよな?」

シャロンとアリサの親しげなやり取りを思い出したリィンはアリサに尋ねた。

「ラインフォルト家に来てから7年くらいになるわね。………家が家だから、子供時代、本当の意味での友達は少なかった。貴族の子からは疎まれ、平民の子からは特別扱いされ……でも、二人がいてくれたから少なくとも寂しくなかったわ。お祖父様は、乗馬やバイオリンなど色々な趣味の手ほどきをしてくれたし……シャロンから護身術や弓の扱い、貴族の子女並みの礼儀作法を教わった。………いっぽう母は………会長である祖父の意向を無視して際限なくグループを拡大していった。」

「そうだったのか………でも、元々かなり大きな技術工房ではあったんだろう?」

「ええ、鉄鋼や鉄道から戦車や銃のような兵器まで………”死の商人”と揶揄されるだけのモノ作りはしてきたと言えるわね。そのこと自体、複雑ではあるけど”恥”と思ったことは一度もないわ。でも――――ここ数年、ウチが作ってきたものを考えると、さすがに行き過ぎとしか思えない。」

「ここ数年作ってきたもの……?」

複雑そうな表情になったアリサの話を聞いたリィンは首を傾げた。



「聞いたことくらいあるでしょう?帝国東部、ガレリア要塞に2門設置されている”列車砲”のことは。」

「ああ……噂くらいは。何でも、世界最大の長距離導力砲なんだってな。」

「私もスペックしか知らないけど恐ろしいほどの破壊力よ。共和国と領有権争いをしていた”クロスベル自治州”の全域をカバー。たった2時間で、人口50万ものクロスベル市を壊滅できるらしいわ。」

「………とんでもないな。戦争というより、虐殺にしか結びつかないと思うんだが……」

アリサの話を聞いたリィンは溜息を吐いた後複雑そうな表情をした。

「ええ、私もそう思う。そして……母が受注したその兵器の完成に立ち会った祖父も同じだった。何というバチ当たりな兵器を造ったんだろうって悩んだみたい。そして、帝国軍に2門の列車砲を引き渡すか迷っていたところで……取
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