第二章
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「あれ位いいじゃない」
「あの娘が困っていると思わないわ」
「ランドセル越しにはたいたりランドセル持たせてるだけよ」
「それがいかんと言っておる、しかし言ってもわからんか」
「だとしたらどうするのよ」
「こうするだけじゃ」
老人がこう言うとだ、不意に。
老人は急に二人になった、横に二人で並んでだった。
姿を消した、次の瞬間には一人が愛美梨の両手の中にあり。
もう一人は愛美梨の背中のランドセルにおぶさった、すると。
手と背中にだ、愛美梨は急に重さを感じた。それもこれまで感じたことのないまでの。
しかもその重さがどんどん増してきていてだ、驚いて言った。
「な、何この重さ!」
「さあ、重いか」
「どんどん重くなるぞ」
老人は二人共こう言ってきた。
「容赦せずにな」
「どんどん重くなるぞ」
「これで終わりと思うな」
「まだまだだ」
「そんな、今でも重いのに」
それでもと言うのだった。
「もっと重くなったら」
「これがあの娘の感じていたものだ」
「いじめられていた娘の感じていたものだ」
「重いものは重いのだ」
「そして痛いのだ」
「重い、重くなるぞ」
「さらにな」
老人は二人で言う、愛美梨は手と背中にとんでもない重さ、それもさらに重くなっていくその中でやがて意識を失った。
そして気付いた時にはだった。
愛美梨は道の上に仰向けに、ランドセルを背負ったまま倒れていた。日はまた高かったがそれでもだった。
気絶していたのは明らかだった、もう老人は手にも背中にもいないが。
手を見るとだ、重いものを持っていたせいか手全体が真っ赤になっていた。愛美梨はそこにまだ強く残っている重さも感じてだ。
気絶するまでのことが真実だと察した、そして。
この日は家に帰ってすぐにだった、知子の家に向かった。そのうえで。
家のチャイムを鳴らして知子の母親に彼女を呼んでもらってだ、深々と頭を下げてから言った。
「今まで叩いたりランドセル持たせて御免なさい」
「えっ、ええと」
「もう絶対にしないから」
こう言って謝るのだった。
「許して」
「うん、それじゃあね」
大人しい知子は性格も優しい、だからだ。
愛美梨が謝ったのでよしとした、そのうえで彼女に言ったのだった。
「折角来てくれたし今からね」
「今から?」
「お家上がる?丁度仁美ちゃんと悠哉ちゃんと三人でお茶飲んでたの」
「じゃあ」
「愛美梨ちゃんもね」
彼女もというのだ。
「飲んでね」
「それじゃあ」
「そうしてね」
こう話してだ、そしてだった。
愛美梨は知子の家に入りそしてお茶とお菓子をご馳走になりながら楽しく話をした。この日から愛美梨はもう知子も他の誰もいじめなくなり陰口を言ったりすることもな
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