暁 〜小説投稿サイト〜
渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【B】
[1/14]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
   渡り鳥が忘れた、古巣【B】
※フィクションに付き、内容は架空で事実と異なる処があります
直弘は販売促進課で、部下と一緒に、特約店作りの立案をしていた。彼は大学を卒業し、父親・泰弘の口利きで、父親と同じ会社に入った。JATCは、泰弘の功績で、貿易業界でも一目置く存在になり、直弘は、現在、販売促進課の係長の職に在った。直弘は、入社してから5年が過ぎていた。彼の仕事は、JATCが輸入した商品を売りさばく為の、特約店を増やすのが、主たる仕事だった。最近、彼の上司の販売促進課長が交代した。新しい販売促進課長は、相川一美(あいかわかずみ)と云って、相川一夫社長の一人娘で、体型は小太りだった。彼女は直弘より五歳年上で、昔、父親・泰弘が内定を取り消された、大手商事会社に勤めて居たが、退職して、JATCに転職したキャリアウーマンだった。彼女は、一人娘特有の、苦労を知らない我が儘で、浪費家だった。一美が身に着けている衣服は、全て高級ブランドだった。転職した彼女の目に、直弘が映った。直弘は、父親譲りのイケメンだった。一美は直弘に、猛烈なアプローチを始めた。直弘は、上司で或る一美の誘惑を、拒む術が無かった。彼女が利用するレストランは、全て、直弘の給料では、行けない様な、高級レストランだった。倹約志向の直子に育てられた直弘には、高級レストランは馴染めなく[もったいない]の、一言だった。しかも一美は、店の飲食代を、全て、JATCの経費にした。直弘は、父親・泰弘の頑張りで、JATCが此処までに成長した事を知っていた。直弘は、一美の経費流用に、自分も加担している様で、泰弘に対し、申し訳なく、肩身が狭く感じた。一方で直弘は、マニラに常駐し、日本の家族を顧みない泰弘に、批判的な面も有った。30歳を過ぎた一美は、結婚を焦っていた。一美の、学生時代の友達や、前の職場での同僚も、殆ど結婚した。勝気で、我が儘で、面食いで或る一美は、前職の大手商事でも、男性社員から、嫌われていた。マニラの常駐勤務が全てだった泰弘は、一美とは殆ど面識が無かった。増して、一美の性格などは、全く知らなかった。社長の一人娘、相川一美との結婚なら、自分も、創業家の一族に成れると思い、直弘の結婚に賛成した。二人は、一年を待たずして結婚した。社長の相川一夫は、直弘を婿養子と考えていたが、直弘が拒み、一美が嫁入りする事で、決着した。一美は安藤一美に成った。社長の一夫は、二人に、都内の高級マンションを買い与え、二人は、古民家に住まなかった。結婚式を終えると、泰弘もマニラに帰任し、古民家は、男気配の無い家に成った。70歳を超えていたキクとヨネは、既に、労務規定に依り、公園清掃の仕事を、失っていた。仕事は美徳だと考え、二人は、皆が嫌がる公衆トイレの仕事を、特別措置で続けさせて貰ったが、給料はダウンした。二人とも、国民年金だったので
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ