第四章
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「本来なら半殺しにして叩き出すとこやけどな」
「どうします、棟梁」
「この人間の娘二人」
「半殺しにはせんって言いましたけど」
「どないしますか?」
「叩き出すことは叩き出す」
このことは確実だというのだ。
「今日はわし等の祭りやさかいな」
「ほな半殺しにせん様にですか」
「叩き出しますか」
「そうする、ちょっと思い知らせたれ」
九尾の狐は狐火達に告げた。
「わし等のやり方でな」
「ほなそうします」
「ちょっと揉んでやりますな」
「何やねん、さっきから半殺しとか叩き出すとか」
「そんなヤクザ屋さんみたいなこと言うたらあかんわ」
「うち等別に悪いことしてへんで」
「狐火観に来ただけや」
これまで話を聞いていた二人は九尾の狐を指差しつつ抗議した。
「それで何すんねん」
「叩き出すなんて物騒やろ」
「野蛮や野蛮」
「そんなんしたらあかんやろ」
「アホ!今日はわし等だけの祭りって知ってるやろ!」
狐火の一つが二人に言い返した。
「それで来たんやぞ!半殺しにされんだけましって思え!」
「そや!ちょっと思い知らせたる!」
別の狐火も言う。
「楽しみにしとけ!」
「これが狐の追い出し方じゃ!」
狐火達は口々に言ってだった、一旦姿を急に消して。
いきなりだ、激しい地震が起こった。それに
雷が次から次に落ちてきてしかも台風の突風が来て周りは燎原の炎に包まれた。葵と彩菜はその四つに囲まれて血相を変えた。
「じ、地震!?」
「雷が落ちてきたやないか!」
「しかも台風も来たで!」
「火事や!」
「ば、化かしてるのはわかっても」
「これはないやろ!」
この四つの組み合わせはというのだ。
「う、うち地震あかんのや!」
「か、雷怖い!」
葵も彩菜も化かされているとわかっていてもガタガタ震えだした、実は二人共妖怪だのそうしたのは平気でもそうしたものは大の苦手なのだ。
「台風や!」
「火事やないか!」
二人は顔面蒼白になってだ、慌ててだった。
震える足で何とかだ、周りを見回して自分達の真後ろだけは雷も火事もないのを見てだった。
葵がだ、彩菜の手を彩菜が葵の手を取って言い合った。
「に、逃げるで!」
「あっちや!」
「あっちが空いてる!」
「はよ逃げな!」
こう言い合い慌てて逃げ出した、足は震えていたが二人はまさに脱兎となって逃げ出した。
そして一目散に逃げて神社の入口まで来た。そこでやっと立ち止まったが。
入口には行きで話をした老人がいた、すっかり夜になっていたが犬と猫達を連れたままそこに立っていた。
そしてだ、肩で息をしている二人に声をかけた。
「ああ、追い出されたか」
「じ、地震起こされたわ」
「雷よおさん落としてきた」
「台風もあ
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