第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#22
戦慄の暗殺者[ 〜Rebirth Chronicle〜
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を無遠慮に浴びせてくる少女に対し、
再びフリアグネの胸中でドス黒い憎しみの炎が理性を焼き尽くすほどに蜷局を巻く。
しかしフリアグネは、永年の戦いで培われた教訓と
左胸の掛け替えのない存在の温もりとで
裡なる黒い火勢を諫めた。
どんな窮地に陥っても決して冷静さを喪わず、
己の意志とは無関係に戦局を合理的に判断出来る
“狩人” の特殊本能。
「……不意打ち紛いの一撃が偶然極まったからといって良い気になるな。
貴様の最大のミスはこの私を 「本気」 にさせた事だ。
それがどれほど愚かしいコトか、身を以て知るのだな?
アノ時死んでおけば良かったと……」
最初の邂逅時に見せた、甘く気怠い雰囲気は今や微塵も感じられず、
代わりに王の真名に恥じない深遠なる声調でフリアグネは告げた。
同時に全身から発せられる、まるで硝子の鳴箭が如き犀利なる存在力。
ソレを前にシャナは再びゆっくりと左手を逆水平に突き出し、
細く可憐な指先でフリアグネを差す、否、挿す。
「アレは、運命の因果がおまえに与えてくれた千載一遇の好機。
ソレを活かせないような 「器」 じゃあもうおまえに勝機は訪れない」
深紅の髪から火の粉を舞い踊らせるフレイムヘイズの少女は、
『預言者』 のように森厳な声で眼前の王に宣告する。
「二度目は、もう来ない! 今度は私の逆襲開始よッ!
おまえに攻撃の機会は巡ってこないけどねッッ!!」
灼熱の喊声と同時に、シャナは足下に突き刺さっていた
紅蓮渦巻く “贄殿遮那” を引き抜いて差し向けた。
「図に乗るなと言った筈だ……! 小娘が……ッ!」
苦々しく口元を歪め、フリアグネは引き裂かれたのスーツとは逆に
煤一つ付いていない純白の長衣、紅世の宝具 “ホワイトブレス” を
鋭い手捌きで螺旋を描く軌道を空間に流した。
舞い散る白い火花と共に空間を踊る不可思議な紋章。
宝具である長衣に編み込まれ、発動する召喚系自在法。
数と範囲をあまり精密には設定せず、微調整もなしに発動させる
先刻までの自在法とは一線を画す、遙かに高度な召喚儀。
その、メビウスリングを想わせる螺旋状の法陣中心に、
一際輝度の高い光が一つのシルエットとして浮かび上がる。
「!」
現れたその存在に、シャナが敏感に反応した。
『刀剣使い』 の本能が、意志と無関係に騒ぎ出す。
その形容が指し示すモノ、
ソレは一刀の、抜き身の 「剣」
やがてシルエットは眩い光を一迅放つと同時に、
具現化して現実の存在となる。
「まさかフレイムヘイズ如きを相手に、
“コレ” を使う事になろうとはなッ……!」
心底苦々しい口調で呟いたフリアグネの、
虚無の空間から浮かび上がって握ら
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