第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#22
戦慄の暗殺者[ 〜Rebirth Chronicle〜
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れたシャナの大刀に匹敵、
否、ソレ以上の刀身を誇る長剣。
ブレードの揺らめきが燃え上がる炎のような、
波状の刃紋を流す氷刃。
その美しい見かけとは裏腹に、エッジは肉厚の白刃に鋭い反りを描いている為
長さに裏打ちされた異常な殺傷力の高さを危険な斬光と共に見せつけてくる。
恐らく、この剣で斬りつけられれば喩え両断を免れたとしても、
その傷口は肉片が飛び散って抉り取られたような創傷となり、
生命の自然治癒力を著しく阻害する痕になる為
永遠に塞がる事はなくなるだろう。
そして、長い時間をかけて次第次第に肉体が腐蝕する地獄の苦悶を味合わせた後に、
残酷な死へと至らしめる、戦慄の美を流す己の大太刀とはまるで対極に位置する
「切断」 ではなく 「破壊」 のみを目的に造り上げられた正に 『魔剣』
宝具ではない、宝具ではないが限りなくソレに近い、
おそらくは過去に、人間の中でも存在の力が大きい、
ジョセフやエリザベスのような者達が通常の武器が全く通用しない
王を討滅する為に造り出した 『対紅世の徒殲滅兵器』
皮肉にもソレが討滅すべき其の者に握られた剣の名が、
清廉な声と共に告げられる。
「 『獅子王ウィンザレオの剣』 ッッ!! 私がその忠誠の「証」として
アノ方から賜った! 古今無双の極刀だッッ!!」
そう叫んでフリアグネは細身の躰に不釣り合いの両手剣を片手で持ち上げ、
威風堂々とシャナに向けて突き出す。
鋭くも重くのしかかるような斬壊音と共に、
互いの中間距離にある空気が弾けて千切れ飛んだ。
その長剣が放つ、酷烈ながらも美しい白銀の煌めき。
ソレが “アノ男” の存在を象徴し、邪悪なるその姿が
浮かび上がったかのような錯覚を覚えさせた。
しかしその存在を前に、少女は凛々しき双眸のまま微塵もたじろきはしない。
“もう二度とアノ男の存在は怖れない”
アイツにそう 「約束」 したから。
何処までも共に行くと誓ったから。
「……」
そのシャナの様子を無感動に一瞥したフリアグネは、
マリアンヌに見せたのと同じ慈しむような表情で刀身に己を映し
表面を労るように撫ぜる。
「出来れば、永久に遣いたくはなかった……
アノ方から下賜された神聖な御品を、
フレイムヘイズの薄汚い血で穢したくはなかったから……」
憂いを秘めた瞳で剣に語りかけたフリアグネはやがて、
覚悟を決めたように表情を引き締めシャナへと向き直る。
「だがッ! おまえは危険な存在だ!!
まだこの世に存在してから100年足らずのフレイムヘイズでありながら!
数多の同種を討滅してきたこの私を偶然とはいえここまで追い込むとはな!
このまま生かしておけば何れ 『星の白金』 共々、
必ずやアノ方の脅威となる存在になるッ!
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