第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#21
戦慄の暗殺者Z 〜Emerald Explosion〜
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の持久戦には不向きな能力だ)
疾走しながらも花京院の集中力は研ぎ澄まされ、
瞬時に状況を分析、把握、そして対応策を紡ぎ出す。
(流石に 『炎の暗殺者』 の名は伊達ではない。
十重二十重で構築された完璧な戦略。 “戦う前から” 勝利が確定している。
特に空条は他の生徒達が人質に取られているも同然の中、
例え殺されても逃げ出す 「選択」 だけはしないからソノ効果は絶大だ)
後方を仰ぎ見ると、廊下で犇めく人形の数は目測で約60体以上。
始末し損ねた一階の数も合わせれば、その全体数は軽く100体を超える筈だ。
しかしそのような窮地にあっても、翡翠の美男子は静謐な美貌を崩さない。
(だが、そのような徹頭徹尾練られた戦略は “完璧を目指す余り”
ボクのような “異分子” の存在の前には往々にしてその脆さを晒け出すモノ。
ソレが解っていた、か? フリアグネ?)
心中でそう呟く花京院の瞳が怜悧に光る。
(此処は “敢えて”、一点外しておくべきだったな?
そうすればボクを 「疑心暗鬼」 に陥らせ、この場に足止めする事も出来た。
この事は確実に君の不利に働くぞ? “狩人” )
花京院は口唇にアルカイックな微笑を浮かべ、走りながら後方の燐子達を見据える。
その疾走の行き着く先、3階東棟の突き当たり。
そこに設置された窓枠の外に、花京院はすぐさま紐状に延ばした
スタンドの触手を打ち放ち、自分も外部へとその身を投げた。
背後で窓枠と壁とをブチ破って次々と大地に落下しながら
追ってきた燐子達を空中で一瞥すると、
再度紐状になった触手を旧校舎と新校舎とを繋ぐ電線に巻き絡め、
大きく一回転しながら落下エネルギーを相殺する。
そして素早く触手を電線から振り解いて細身の躰を廻転させながら空中を飛翔し、
周囲の空気を巻き込みながら渡り廊下に設置された床板を踏み割って着地、
そのまま踏み切りのエネルギーを殺さずに目当ての『場所』へと
前方回転で受け身を執りながら転がり込む。
後は、 “この場所がこの時間に使われていない事” を祈るのみ。
ゆっくりと上げた視界の先。
柱の無い開けた空間、フローリングの上にワックス剤が塗布された床。
花京院の中性的な口唇に勝利の微笑が浮かぶ。
『賭けには、勝った……ッ!』
心の中で快哉を覚えた瞬間、正面と両脇に設置された 「体育館」 の
出入り口残りの4つが狂暴な破壊音を伴って鉄扉を吹き飛ばす。
その破壊された箇所から、グラウンドが覗く空洞から、
100体以上の武装燐子の大軍が多種雑多な足音を立てながら蠢き、
ゆっくりと体育館内に侵入してきた。
その耳まで裂けた口で、これから始まる清廉な存在を蹂躙する悦楽に
それぞれ下卑た笑みを
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