第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#21
戦慄の暗殺者Z 〜Emerald Explosion〜
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「状態」 だった。
そこは、“なんともなっていなかった”
「どういう、こと、だ?」
珊に足をかけ窓の縁に掴まったまま花京院が見下ろした3階の光景は、
白い光に覆われていることを除けば平穏そのもの、
まるで黄昏時の放課後のように、沈黙と静寂とで包まれていた。
それが2階の惨状と反比例して、余計に不気味さを際立たせる。
「一体、どういう事だ? 2階はアノ惨状だったのに、
何故 “3階はなんともなっていないんだ?”」
“狩人” の余裕?
絶対に有り得ない。
アノ純白の貴公子は、そのやや軽薄な甘い風貌とは対照的に、
度が過ぎるほどの完全主義者。
水も漏らさぬ完璧な戦略と、一片の解れもない緻密な戦術とで
歴戦の強者達を闇に葬ってきた、正に至高の暗殺者。
その彼が最後の砦ともいうべきこの 「場所」 を、
無策で放置するなど有り得る筈がない。
ならば、どうする?
もし自分だったなら、 “自分がフリアグネだとしたら”
(もし、彼にも、 “アレ” が出来るのだとしたら……)
花京院は静かにスタンドの右腕を紐状に変化させ、
窓枠の下にタラリと揺らしその射程距離が通常の3倍近くに
引き延ばされた拳を一度振り子のように大きく揺らし、
素早い手捌きで封絶に煌めくリノリウムの廊下へ撃ち込んだ。
ズガァァァァッッ!!
砕けて飛散する、青い破片。
その刹那。
(!!)
突如、スタンドの着弾箇所に奇怪な紋章が刻まれた
まるで黒魔術の儀式に遣うような純白の方円陣が浮かび上がった。
そしてその円陣内部から、夥しい数の人形の手が犇めき合って蠢き合い、
何もない空間を無造作に掴み合う。
「やはりッ! “結界” かッッ!!」
予測できたとはいえ驚愕の事態。
通常はその防衛本能故、反射的に飛び去る処。
しかし花京院は 『逆』 に、前方に向けて大きく跳躍し
本体と同化させたスタンドの足で着地、
そのまま鋭く床を蹴って疾走った!
次々と廊下の上に先刻と同様の白炎法陣が浮かび、
その内から漏れなく悍ましき人形の腕が飛び出してくる。
やがてその手に 「標的」 が触れない事が解ると、
白い法陣の内部からやはり同様大仰な武器を携えた人形が次々と現れ、
花京院に向かい大集団で襲いかかってきた。
(やはり、言葉通り勝利の方程式は万全というワケか。
ボクが無防備のまま床の上に飛び降りていたら、
おそらくアノ “結界” 内部に在る特殊空間に引きずり込まれていた筈だ。
もし空条かマジシャンズだったのなら、
この圧倒的数量を前に相当自力を削られていただろう。
彼らの能力は 『近距離パワー型』
ソレ故に、対複数
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