第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#20
戦慄の暗殺者Y 〜Don't leave you〜
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アラストールは小康状態を選択した。
全ては、シャナの回復の時間を図る為。
そして、間に合うかどうかは解らないが、
「あの男」 の到着を待つ時間を少しでも稼ぐ為だった。
かつて、この 『世界』 の致命的な 「危機」 を、
二度も救った偉大なる血統の末裔。
そして今再び、その 『世界』 の存在全てが
“幽血” の脅威に染まりつつある「宿命」と戦う男。
『星の白金』 空条 承太郎を。
「イヤ、それにしても君の “焔儀” には、正直肝を冷やしたよ」
アラストールが喋らないのでジレたのか、
フリアグネは長衣を梳き流しながら純白の手袋、左側を外した。
「!」
想わず息を呑むアラストール。
露わになった左手の薬指、精巧に彫金された純銀の台、
その上に同様の研磨技術でカットされた紺碧の宝玉が光る指輪が在った。
しかし惜しむらくかな、その神秘を灯す宝玉にはいま頂点部から一筋、
細かな亀裂が走っていた。
「まさかこの火除けの指輪 “アズュール” に罅が入るとはね。
もう二、三発同じ焔儀を撃たれていたら危ない処だったよ」
そう言ってフリアグネはからかうように、
その火除けの宝具 “アズュール” を振ってみせる。
「貴様……やはり先刻この子の焔儀を防いだのは
“自在法” ではなかったのだな?」
フリアグネの余裕、その本質を見切れなかったアラストールは
口惜しく歯噛みする。
「フッ、己のキリ札は決して敵に晒すな、さ。
私がフレイムヘイズの焔儀に対して
絶対の防御式を持っていると 「錯覚」 させておけば、
必ず相手は武器を持っての近接攻撃を仕掛けてくるだろう?
後は適当に使い捨ての “燐子” に相手をさせておいて、
『邪 裂 爆 霊 傀 儡 殺』
の「布石」を造ってもらうだけさ。
他でもない “フレイムヘイズ自身に” ね
そう言ってフリアグネはアラストールに片目を瞑ってみせる、
無垢なるその仕草は遊戯に興じる幼子のようだった。
「コレが、私の 「必勝の秘密その2」 さ。
そう言えばこの事は “彼” にも話してなかったな。
実際に魅せて説明しようとしたのが仇となったか。
次はここまで完璧に極まるかどうか、自信がないよ」
長衣で口元を覆い、クスクスと微笑って見下ろすフリアグネ。
シャナの、その全存在を嘲笑うかのように。
「“彼?” 彼の者 『幽血の統世王』 の事か?」
「フッ、君には関係のないコトさ。
ソレに、幾ら時間稼ぎをしても、
もうその子は起きそうにないよ」
「!!」
いつかは見抜かれると想ったが、否、最初から見抜きながら
興じていたと考えるのが妥当か。
その悪魔の狡猾さ
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