第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#20
戦慄の暗殺者Y 〜Don't leave you〜
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かえ》るコトが出来るというワケさ。
「器」 を破壊されて暴走したアラストールの劫火に焼かれては、
さしもの 『星の白金』 も一溜まりもあるまいッ!
そして紅世ではない現実世界ではその存在を維持できないアラストールは、
私に 「復讐」 することすら叶わずにそのまま紅世へと還るしかない!
つまりはッ! もう既にして! 私とアノ方の完全勝利というワケさ!
アアアアアアァァァァァァハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
白く神聖な存在のオーラを身を覆い、口唇を何よりも邪悪に歪めて、
フリアグネはシャナを嘲笑った。
エコーを響かせて、狂った弦楽器の歓声が屋上全体に鳴り渡る。
「貴様……ッ! 何たる卑劣な……ッ!
敗者に鞭打つばかりかその身を灰燼に帰して 「罠」 に変えようとは!」
激高したアラストールの声をフリアグネは愉しむように受け止め、
邪気に充ち溢れた微笑を嘗ての同胞へと向ける。
「これはこれは、天壌の劫火の御言葉とは想えない発言だな?
戦いとは、 須 く 「結果」 のみが全て。
敗者は勝者に何をされても仕方がない。
その鉄の掟をお忘れか?」
そう言ってフリアグネはパールグレーの双眸を散大させ、
ギラついた狂気の光でアラストールを睨めつける。
「“自分だって今までそうしてきたのだろう?”
相手の 「言い分」 など訊きもせず、斟 酌もせず、
“知ろうとも知りたいとも想わなかったのだろう?”
そして討滅してきたのだろう?
我々と一体何処が違うんだ?
にも関わらず 「自分の時」 は酌 量してくれとは、
また随分と虫の良い話だな? ン? アラストール殿?」
長文を淀みなく明瞭に紡ぎながらフリアグネはそう言い放ち、
そして慇懃無礼を絵に描いたような立ち振る舞いで
右腕を前へ差しだし最上級の一礼を捧げた。
「……」
論理的な挑発にもアラストールの心中は乱れなかったが、
しかし窮地とは別の事象でその不動の精神に若干の解れが生じた。
「それとも、まさか 『星の白金』 に何か “特別な感情” でもお在り、でも?」
「!」
隔意なき明け透けな言葉にアラストールは一瞬虚を突かれるが
「戯けた事を……」
そう言って押し黙った。
「ふぅん」
フリアグネは蕩けるような甘い声でそう呟き、
幻想的な流し目でアラストールを見つめた。
紅蓮と白蓮。
二人共強力な紅世の “王” ではあるが、
言葉遣いや立ち振る舞いはまるで対極だった。
「……」
「……」
その両者の間に、沈黙の帳が舞い降りる。
フリアグネはまだ己の 「戦果」 について話したりない様子だったが、
ソレを見越して
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