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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十七話 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
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の一人だった……。

「フロイライン、元帥閣下はお会いになるそうです。こちらへどうぞ」
「有難うございます。お手数をおかけします」

メックリンガー提督の案内で司令長官室に向かう。その途中、提督が話しかけてきた。
「司令長官室に入ると驚きますよ、フロイライン」
「それはどういうことでしょう」

「まあ、見れば分かります。司令長官室はもう直ぐです」
メックリンガー提督の声には微かな笑いの成分がある。私が緊張していると思ったのだろうか?

司令長官室は圧倒されそうな雰囲気を持って私を出迎えた。部屋がやたらと広く三十名程の女性下士官が机を並べて作業をしている。彼女たちは私達に軽く会釈をすると自分の作業に戻った。

それきり彼女達は私達に関心を示さない。そんな暇はないのだろう。彼方此方で鳴るTV電話音、受け答えする女性下士官、書類をめくる音とキーボードを叩く音。私はしばらくの間呆然と彼らを見ていた。

「メックリンガー提督、フロイライン・マリーンドルフ、元帥閣下は応接室でお待ちです」
「私も御一緒してよろしいのかな? 中佐」
「はい」

驚いている私の耳にメックリンガー提督と中佐と呼ばれる女性の声が入ってきた。中佐? 女性なのに? 長身の女性士官だった。彼女の軍服には襟蔓3本、胸蔓3本、肩線2本がしるされている。確かに軍服は彼女が中佐である事を示している。

応接室に入ると元帥が私達を出迎えてくれた。軍服だけでなくマントまで黒一色で装う元帥は穏やかに微笑みながら、私達にソファーに座るように勧めてくれた。

「もう直ぐフィッツシモンズ中佐が飲み物を運んできます。フロイラインのお話はそれから伺いましょう。お父上、マリーンドルフ伯はお元気ですか?」
フィッツシモンズ中佐……。先程の女性士官の事だろうか?

「はい、元帥に宜しく伝えて欲しいとの事でした。今日は陛下への謁見のため宮中に出向いております」
「宮中へ、ですか」

「はい、私を次のマリーンドルフ伯爵家の当主とするため、陛下の御内諾をと」
「……そうですか、フロイラインが次期当主に……、それは、おめでとうございます」
「有難うございます、元帥」

メックリンガー提督も御祝いを述べてくれる。そう、私は伯爵家の令嬢ではない。次期当主としてこの会見の場に居る。少しでも私の立場を強くするようにと父が考えた事だった。

先程の女性士官が飲み物を持ってきた。やはりこの人がフィッツシモンズ中佐だった。彼女は飲み物を並べるとソファーに座った。この四人で話すのだろうか……。

「フロイライン、私は女性と二人きりで話をするのは苦手なのです。メックリンガー提督とフィッツシモンズ中佐に同席してもらいますがよろしいですか?」
「はい。かまいません」

やはり、私
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