Side Story
少女怪盗と仮面の神父 23
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被害者』と言える。
しかし、彼女と怪盗との接点は両者が住むネアウィック村だけだ。何も知らない一般民のアルフィンに危害を加えたのはイオーネと呼ばれた女性であり、結果『シャムロックの被害者』に仕立てたのもイオーネだ。
そう訴えようとして。
突如、背後に降ってきた「何者か」に遮られた。
「え」
ぴぅっ! と、耳元で風を切る音。
同時にアーレストがミートリッテの肩と腰を押さえて一歩後ろへ退がり、やれやれとわざとらしい溜め息を吐く。
「もう少し穏やかに登場していただけませんか? 彼女を傷付けたくないでしょう?」
苦笑う神父に構わず、二度三度と風が切断される。その素早い斬り込みと突き出しを横目で覗けば、鋭く尖った銀色の残像がアーレストの顔や首を狙っていた。
(誰!? なんなの、この速さ!?)
一撃一撃が速すぎて筋が見えない。
前のめりなミートリッテの体重を支えながら、軽やかな足さばきで全攻撃を避けてる優男も異常だ。
過去数回覗き見た貴族社会の舞踏を連想させる動きに茫然と身を任せていると、くるくる回る視界の端に真ん丸な目で肩を震わせているイオーネの姿が映り込む。乱入者を見てぽかんと開いていた唇が、少しずつ笑みを浮かべ……
「……あは! あはははっ! やっと! やーっと会えた! 嬉しいわ! 貴女の綺麗な青い瞳を私にも見せて、マーシャル!!」
(……え?)
歓喜で叫んだイオーネが地を蹴り、持っていた短剣を「何者か」の背中に突き出した。「何者か」はアーレストに放った剣光を翻し、いとも容易くイオーネの攻撃を受け流して距離を取る。
「マーシャルって……」
ミートリッテが知る「マーシャル」は一人しかいない。
でもまさか。
アーレストにべったり体を寄せていたあの女性が、彼の顔を潰す勢いで襲い掛かった?
「見ますか?」
確認したくてじたばた暴れるミートリッテに気付いたアーレストが、年齢の割に小さめな体を腕の中で器用に反転させる。
(……!)
細長い剣の切っ先をイオーネに向けて対峙するのは、確かに砂浜を真っ赤なピンヒールで疾走していた風変わりな女性だった。花飾りこそ挿してないが、ふわふわの長い金髪も、両肩と左脚を露出した真っ赤なドレスとピンヒールも、村で見た時と殆ど変わってない。
ただし。
「……初対面のキモい女に呼び捨てされるなんて、アタシも有名になったものだわ。ま、情報の出所なんか幾らでもあるんだし、別にどうだっていいんだけど……ねぇねぇアーレストさまぁ? 裏切るにしても、取り付く相手はよぉおーく吟味して選んだほうが良いわよぉ? 男の価値って、周りをうろちょろする女の質でも左右されるんだから。これ、万国共通のジョーシキよ? ジョーシキ!」
楽し気に弾む笑い声とは裏腹に、青い湖面色の
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