暁 〜小説投稿サイト〜
魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第2章『あたたかな手は』
第11話『死徒×戦士×魔法使い』
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の果てに辿り着いたのが、ヴァリアゾードからは遠く離れたこの小さな村。穏やかで、美しくて、居心地の良い、名すら無いような本当に小さな村。

 その中に構えられた一軒の店で、小さな旅を終えた三人も休息へと浸っていた。

「メイリー、そろとろ落ち着いたかー?」

「ぐぅ……ぅ、あ、甘く見てんじゃないわよ……っ」

「よしよし大丈夫なのか。それはよかった」

 パチンっ

「みぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!??」

 二発目のデコピンがメイリアの投げ出された足裏に炸裂し、再度絶叫をあげてメイリアがごろんごろんと転がり回る。
 メイリアの履いてきた靴はブーツであったため、足を痺れさせた現状を改善したいメイリアは座り込むと同時に脱いでしまったのだが、この点に関しては逆に仇となった。

「ジィィィィィーーーーークッ!!」

「うがっ!?痛っ、わ、わかったわかった!謝るから杖で殴るのはやめろっ!地味に硬いんだよソレっ!」

 膝立ちして涙目で殴り掛かってくるメイリアを必死に宥めて落ち着かせ、ジークもまたテーブルの反対側に回って椅子に深く腰掛ける。メイリア程ではないものの多少不調な足を前に投げ出して、再度ポタージュに口を付け、ある程度冷めたソレを一息に喉奥へと流し込む。冷めたとはいってもまだ暖かさの残った、黄色っぽいとろみのある液体が舌を潤していく。幾つか含まれていたクルトンを軽く咀嚼して、それも喉を鳴らして飲み込んだ。

 ポタージュが注がれていたカップをテーブルに置いて、改めて視線を上げる。

 メイリアはジト目でジークを睨みつつ、ジョッキに注がれた酒をごくごくと飲んでいた。飲酒は16歳から許されているため、今年の初めに16歳となったメイリアは一応違法ではない。が、許されてすぐからこのハイペースで飲んでいては、いつか体を壊しそうでジークとしては少し心配な節もある。

 一方スィーラは、ジークと同じコーンポタージュを注いだカップを両手に、中を覗き込んでいた。
 ポタージュは初めて見たのか、中に浮いているクルトンや薄黄色の液体を見つめて鼻をすんすんと鳴らし、興味深そうに匂いを嗅いでは、ちびちびと猫のように少しずつ飲んでいく。

 メイリアがおそるおそる足を地面に付けて割と大丈夫そうにしている所を見ると、足の痺れも取れてきたのだろう。顔色も大分と良くなってきているようで、そろそろここも出発出来るだろう。

「……ちょいと村を回ってこようか。メイリー、金は三人分置いとくから払っといてくれ」

「はいはーい、いってらっしゃい」

 椅子から立ち上がって懐のベルトポーチから袋を取り出し、二枚ほどヴェリオ銅貨を取り出してメイリアに手渡す。メイリアの顔が少し赤くなり、火照っていたような気が
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