暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
副官の憂鬱
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ほとんど破滅と同じと言ってもいい」

カップを傾けて一拍子挟み、ヒスイは続けて口を開いた。

「仲間を絶対に守る……字面はとってもええなぁ。善悪で言えばもちろん善や。だが、あん子ぉのは常軌を逸しとる。行動そのものは善でも、アレは守るべき仲間の善悪は問うてへん。仲間が悪性だとしても、隊長は他の子ぉと変わらずに守るやろ。それだけならまだええ。けどな、仮に仲間同士が争うことになった時――――」

あの少年は壊れるだろう。

その一言を言いそうになったが、寸前で口を止めて言葉を熱いコーヒーで流し込む。

仲間が、友達が、家族が誤った方向に歪んでしまった時、そのレールを直すのが傍にいる者の義務であり責務だ。仲良くする以前に、律する者でなければならない。

だが、あの少年はそれができない。

仲間を無邪気に信じる。それはとても美しい言葉だが、同時に途轍もない危険性も孕んでいるのだ。

愛が憎悪を含んでいるように、信頼も疑心を含んでいるのだから。

彼の長所であり短所。

強みであり弱み。

鋭さゆえの――――脆さ。

危うさ。

そもそもあの少年は人間の定義を広げすぎている。NPC(マイやカグラ)を人間として、そして守るべき仲間として認識しているということは、その認識はどんどん広がっていくものだと考えるのが妥当だ。

放って置いたら冗談抜きで少年の中の《仲間》は目につく全員となってしまう。

それだけは避けなければならない。

世界を守る英雄は、選ばれた者だけがやるものなのだから。

彼は手のひらの上にあるちっぽけな世界を守るために奔走するヒーローくらいが一番似合っている。

だから、自分達にできるのは、これ以上あの少年の仲間を()()()()()()()

その手のひらにこれ以上乗せてはならない。

特別ではなく、その他大勢にならなければならないのだから。

重荷には、なってはいけないのだから。

「そんなことはないと思いますよ〜」

ほわほわ系ド天然、ネモフィラはケットシー全員が持つ三角形の耳を動かしながらやっぱりほわほわと言った。

「たとえ間違っても〜、友達は友達なんですからぁ〜」

「……アンタはいっつもお気楽やなぁ」

つられたように微笑みながら、ヒスイはカップに残っていたコーヒーを一気に呷った。

ほどよい苦みが口内を刺激し、わずかに残っていた眠気が払われていった。

「はいはい、ケーキ食ったら散り散り。こちとらまだやることがあるんや」

「えー、副長もたまにはお祭り行きましょうよ」

「んなこと言って、いっつもお祭り騒ぎやんか。何べんクリスマス間近で騒ぎたいねん」

「違いますぅー。今日
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