暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
副官の憂鬱
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い魔と預けられた使い魔の世話だったりするので、その過程でクーとの面識は結構あるロベリアに乗っかられても格段クーは嫌がったりしなかった。

部屋のほとんどを巨体が占拠しているので、隊長室に応接テーブルなどというブルジョアなものはない。床にベタ座りするロベリアの隣で、同じようにガルムに背を預けてネモフィラがおっとりと座った。

自分で持って来たケーキを勝手に切り分け始める彼女達にとりあえずマイケーキを要求し、その見返りに二人分のカップに注いだお茶を出す。ランダムだが色と香りからして両方紅茶だろう。

突発的なティーブレイクにほっこりする二人に笑みをこぼしながら、ヒスイも支給された一ピースにフォークを入れる。

シナモンケーキといってもその材料は多岐に渡るが、これはリンゴとクルミを混ぜ込んだもののようだ。リンゴの酸味とクルミの食感が実に楽しい味覚を織り成している。

さらにその生地の上にたっぷりのっているは、ケットシー領内のみで湧出(ポップ)する食妖樹のドロップアイテム、《ジュエルアップル》を加工したジャムらしい。他の領地に行けば結構高値で売れるそれを惜しみなく使っているところに、微妙に本気が見え隠れしている。

「おー美味いやんかフィー。これ売ったら金取れるぇ」

「えへへぇ〜、頑張ったかいがありました〜」

「コイツ、普段ぜんっぜん頑張ったりしないのに、珍しくやる気見せたんですよー。そんなにたいちょーに食べてもらいたかったのかにゃ〜ん?」

部隊内でも有名なデコボココンビのじゃれ合いに朗らかな笑い声をプレゼントしながら、ヒスイは「やめときやめとき」とフォークの先端を振った。

「脈以前の問題やでアレは。賭けてもええけど、絶対に実らんよ」

少なくともあの真っ白な少女に勝てるヤツがいたらソイツの顔を拝んでみたいものだ。

だが何だかんだ言って相棒の恋心に水を差されるのは嫌なのか、ニット帽に押し込んだ三角の耳をピンと立てながら、ロベリアはむっとした表情で反論してくる。

「えー何でですかー。おねショタ展開でワンチャンあると思うんですけど」

「アンタはその天然ボケに何の期待をしてはんの」

フォークの先端を、少女の隣で幸せそうに会話をスルーしてケーキに没頭するほわほわ系天然に向けると、当のロベリアもぬぐっと言葉に詰まった。

それにな、とヒスイは笑みをひっこめる。

「……あてらは、隊長にとって個ではなく集団でなければならんのよ。少なくとも、そうあるべきなんや」

「……?どういうことですかぁ〜?」

むぐむぐ頬を膨らませるネモフィラに苦笑を浮かべながら、フェンリル隊の参謀である女性は言葉を重ねた。

「あてらは皆、隊長の優しさに集まってる。だけど、隊長の《アレ》はとても危ういもんや。
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