暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
副官の憂鬱
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忙しい中、来週にはフェンリル隊を率いた新生アインクラッド第二十層攻略を予定しているのだ。俗に《十存在(バルシア)》と呼ばれる高位実力者達の一角を担う彼の消失が戦力的に壊滅的な打撃を与えることは想像だに難くない。

だが話を聞いてみるとどうやらコンバートは一時的なもので明日の夜くらいにはまた再コンバートするということで胸をなで下ろした。選挙のほうで言えば本当に忙しいのは執政部であり、地位で言えば指揮官クラスであるレンにやってほしいような仕事は少ない。

必要書類数枚にだけサインしてもらい、心置きなくコンバートしてもらった。

まぁ、問題は戦力より士気やろうけどねぇ、と思いながらヒスイはまどろむ巨狼達から視線を外し、執務机隅に置いてすっかり忘れていたティーポットを手に取ってカップに注いだ。

紅茶、ほうじ茶、緑茶など六種類の中からランダムで一種類が排出される魔法のポットだが、今回は一種類だけお茶から外れたコーヒーだった。

別に当たり外れではないのだが、何となくラッキーと思ってしまう。

仮想の熱感が舌を焼く感覚にちょっぴり舌を出していた時、副長室のドアが勢いよく開いた。

「たーいちょ!シナモンケーキ焼いたんだけど良かったら……ってあれーここにもいない!?」

「明日の夜までは不在やよー。……ってあての分はないんか」

出来立てを窺わせる香ばしい匂いとともに現れたのは、同じくフェンリル隊所属の隊員だった。

最近ようやくインファンシーをラウンダーへと成長させる事ができ、新人組から脱しようとしているロベリアは、チャームポイントであるネコミミニット帽に収納された耳をふりふり動かした。

「むー、手作りお菓子で好感度アップしよーと思ったのに……」

「てか、あんたガッチガチの効率厨やったやろ。料理スキルなんて乙女チックなスキルが入る空きストックなんてあったんか?」

天板に肘をつき、胡乱な視線をロベリアに向けていると、その視線に圧されたようにその影から女性が顔を見せた。

ゆるくウェーブがかった薄桃色の前髪に隠れ気味になっているパールピンクの眼は気が抜けるように垂れ下がっている。気が弱い、というよりド天然な第一印象だが、彼女と付き合った者は大抵そのインスピレーションは間違っていなかったと確信する。

「あぁ〜、作ったのは私です〜」

「あ、ちょ、バラさないでよ!フィー!」

「ははぁ、まぁんなトコだろうと思てたけどなぁ」

全体的にほわほわする天然巨乳、ネモフィラに苦笑を投げかける副隊長を尻目に、どたどたと入ってきたロベリアは二匹の巨狼のうちクーを背もたれにして座った。

隊長と副隊長以外の隊員は領内にいる時は大抵宿舎に使い魔を預けている。フェンリル隊では新人の最初期の仕事はほとんど自身の使
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