第十八話 新幹線の中でその六
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「それに食べるものも美味しくて」
「中華街とかですね」
「カステラもあってね」
「食べものも美味しくて」
「とてもいい場所だよ、歴史も勉強出来るから」
「余計にですね」
「いい場所だよ」
それが長崎だというのだ。
「だから君も」
「長崎で、ですね」
「明るく生きるんだ」
「わかりました」
男の励ましの言葉にだ、優花は確かな声で答えた。
「そうしてきます」
「行くのは長崎市の近くだね」
「はい、そうです」
療養所のある場所はとだ、優花はまた答えた。
「あそこの近くです」
「佐世保の方にも時間があると行くといいよ」
「あっちの方にもですか」
「離れているけれど」
同じ長崎県であるがだ、北と南でかなり離れているのだ。
「時間があったら行くといいから」
「佐世保は軍港ですね」
「今は自衛隊さんの基地があるよ」
海上自衛隊、こちらのだ。
「そしてアメリカ軍もいるよ」
「アメリカ軍もですか」
「海軍がね」
「じゃあアメリカ海軍の軍艦も」
「停泊しているよ」
「そうなんですね」
「自衛隊の基地が大きくてね」
その海上自衛隊の基地がだ。
「横須賀、呉、舞鶴と並ぶ場所だよ」
「軍港としてですね」
「そうだよ、軍港から栄えた街でね」
「今も自衛隊の街なんですね」
「そうなんだ、あそこは」
「そうですか、僕呉とか好きでして」
横須賀もだ、姉と一緒に行って楽しんだのは懐かしく楽しい思い出だ。自衛隊のグレーに塗装された護衛艦も観た。
「じゃあ佐世保にも行ってみます」
「ハウステンボスもあるしね」
「あっ、そうでしたね」
「ハウステンボスは長崎にあってね」
長崎県にである。
「佐世保市にあるんだ」
「じゃあ長崎市とは反対ですね」
「佐世保だからね」
「それじゃあ佐世保に行ったら」
「そこにも行ったらどうかな」
男は優花に佐世保に行くことも勧めた。
「そうしたらね」
「はい、じゃあ機会があったら」
「行ってみるんだね」
「そうします」
男に対して確かな顔で頷いて答えた。
「是非」
「そうするといいよ、あとやっぱり長崎だから」
その長崎自体のこともだ、男は話した。
「ちゃんぽんだね」
「長崎ちゃんぽんですね」
「それを食べるといいよ」
「長崎ちゃんぽん美味しいですよね」
優花も笑顔で応えて言う。
「麺が太くて豚骨スープで」
「具も多くてね」
「はい、かなり美味しいですね」
「その長崎ちゃんぽんも食べて」
「楽しんだらいいんですね」
「そう、カステラもあるし皿うどんもあるしね」
「色々ありますね」
長崎と一口に言ってもだ、優花はそのことにも気付いた。ただ女になりそして高校を卒業するまで過ごす場所ではないということを。
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