暁 〜小説投稿サイト〜
グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第59話:猫の瞳は深夜に輝く。
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ヘアピンが有れば簡単に解錠出来る程度の扉。
しかも専属の警備兵なども居らず、無造作に意味不明な扉が佇んでるだけ。

しかし、この扉に辿り着くには、金庫室(ここ)以外を警備してる兵士の目の前を通らなければならない……しかも2人も!
通り過ぎるだけなら簡単だと思えるのだが、この場所へ来る必要性が全然無いのが問題だ。
一介のメイドが、用も無いのに彷徨くのは非常に目立つ!

“金庫室が有る”と知れ渡ってれば、それなりの理由を捏造して彷徨く事も出来るが、金庫室の場所を知ってる人間は王家の中でも少数だ。
何故メイド如きが知ってるのかと言う事になる。

普通、大切な物を保管する場合は、そこの警備を厳重にする。
しかしこれ程までにセキュリティーが低いと、だれもその先に金庫室が有るとは考えなくなる。
なんて性格の悪い人間が思い付いたのだろうか……

折角金庫室の場所を探り当てたのに、近付く事も出来ないなんて……流石に諦めようと考え始めた頃、ロイヤルファミリーの為に奉仕する上級メイドを募りだした。
上級メイドとなれば王家にかなりの信頼を植え付けられる。

そうなれば金庫室周辺の掃除などの仕事も舞い込んでくる……そう考えた私は、完璧なメイドとして振る舞った。
メイドの中でもお給料が最上位に位置する為、倍率はとても高かったが、私に不可能は無い。

170倍の倍率を勝ち抜き、見事上級メイドとして働き出せたのが、メイドになって1年目の事だ。
辛抱強く機会を覗い、上級メイドとして日々の仕事を熟していく。
そして半年が過ぎた頃、更なる転機が訪れる。
何と私に金庫室周辺の清掃任務が回ってきたのだ!

メイド長のブレンダさんに連れられて金庫室へ降りる階段の扉まで来た時『え、この先が金庫室なんですかぁ!?』と驚いて見せた。
既に1年前には場所を知っていた私だが、ブレンダさんは自慢気に『そうよ……グランバニアでも数少ない人間しか場所を知らないのよ』とレクチャーしてくれた。

しかし問題が全て片づいた訳では無い。
金庫室前に初めて来て判ったのは、金庫自体のセキュリティーの高さだ。
当然では有るのだが、解錠方法は簡単では無い。

高さ2.5メートル・幅3メートルが金庫前室の奥に有る壁で、その全てが金庫室への扉になっており、扉の中央には直径50センチメートルの大きなハンドルがあり、その下に1〜100のメモリを振った赤・青・黄のダイヤル錠が付いている。

初見でこの金庫の扉は分厚いと感じたので、力業での金庫破りは不可能と判断。
何より私のスタイルとして力業での強奪なんて有り得ない!
だからこれまで通り、メイドとして従順に仕えるフリをしながら、金庫の暗証番号情報を得ようと試みました。

だけど流石はグランバニアでした。
金庫の場
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ