第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
最後の物語:軋む在り方
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「……………………お姉ちゃん、今の男の人、知り合いなの?」
「えぇ、まあ………挨拶程度はするくらいの仲でしたけどぉ、こうして会いに来たのはどうしてでしょうかねぇ?」
しばし首を傾げて悩むも、思い当たる節はこれといって考えられない。
自分が彼や幹部、笑う棺桶の構成メンバーから多大な不興をかっているくらいは判断が付くのだが、それでは向こうから接触を図るにしても手段が不適切に感じる。
直接的な手段で排除しても良いだろうし、かといって素行を是正させる意図があったにしては言葉に棘が無さ過ぎた。更に言えば、昨日まではカルマ浄化クエストさえ受ける素振りさえ見せなかった男が、偶然主街区に入り、近くにいたという見え透いた嘘を吐いてまで接触してきたのだ。全く以て目的が知れないし、みことの感じる恐怖とは異なる意味合いで意味が悪い。
故に腹積もりを勘繰るのも致し方無いというものだが、所詮はピニオラは《レッドプレイヤーの観察》という目的で殺人ギルドの末席に名を連ねるに過ぎない。ギルドの動向などには匙程の興味もないというのが本音であった。優先順位にしてもあくまで暇潰しの域を逸脱しないものに過ぎない。
しかし、ピニオラとしては自身のお気に入りの玩具を奪われるかも知れないという事態に対してのみ警戒していた。PoHから積極的に他者を殺害する光景はあまり見ないが、彼に焚きつけられたレッドプレイヤーであれば、ピニオラの下にいるみことをターゲットにすることは在り得なくもない。大概は美学も矜持もない猿真似集団に過ぎないが、盲目的なまでのPoHへの信仰心という点では目を見張るものがある。
今回のPoHとの接触。考察の果てに、目立つ振る舞いは避けた方が我が身の為だと完結させる。
兎にも角にも、穏便に行動してみことという観察対象を楽しむのみ。このまま笑う棺桶が攻略組に壊滅させられようが、アジトにすら居付かない自分には対岸の火事でしかない。適度に羽を伸ばしつつ、恭順するフリをしていれば、結果はどうあれ煩わしい状況は収束していくだろう。
行動指針は確定された。もう思い起こす必要はない。
次の瞬間には、ひたすら髪の指通りを楽しんでいた手を止めてみことと視線を合わせる。
そもそも、ここに来た目的は衣類の購入であってウインドウショッピングではないのだから。
「………あ、そうでしたぁ。お洋服を買わないとですねぇ〜………って、みことさん………それはなんですかぁ?」
「ん、お姉ちゃんに………似合うと思ったの………!」
「あらあら………なんだか良く解らないですけどぉ、すごい意気込みというのは伝わってきますねぇ………」
真剣そのものというみことの表情に苦笑しつつ、ピニオラは差し出された衣服を観察する。
とくに派手さの
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