第十七話 旅立ちその十二
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「こうして」
「そうよね、それじゃあ」
「はい、あいつに会いに行きましょう」
「そうしましょう、機会を見てね」
「それで、ですよね」
「連絡もしましょう」
こちらも忘れずにというのだ。
「そうしましょう、二人でね」
「はい、是非」
「あの子は旅立ったから」
新生、男から女になるそれにだ。
「私達は待つことよ」
「それが俺達のすることですね」
「そう、じゃあいいわね」
「はい、待って時には行って」
「いつも連絡を忘れないでね」
「そうしていきましょう」
「わかりました」
龍馬は優子に澄み切った笑顔で応えた、そして。
優子はまだ優花を乗せた新幹線が消えた線路を見ていた、一直線に何処までも続く様に見えるそれを見続けながらも。
龍馬にだ、こうも言った。
「じゃあもうね」
「はい、今からですね」
「私達の場所に行きましょう」
「学校ですね、俺は」
「それで私は病院よ」
日常、それぞれの場所にというのだ。
「行きましょう、いいわね」
「わかりました、それじゃあ」
「今からね」
こう龍馬に言ってだ、二人は線路から視線を外し。
ホームを後にし駅も出た、そうして。
車に乗り込み別れの場所を後にした、龍馬は学校まで送ってくれた優子に車を出たところでこう言った。
「有り難うございます」
「お礼はいいわ、じゃあね」
「はい、行ってきます」
「龍馬君も頑張ってね」
運転席からだ、優子は龍馬に言った。
「これから」
「はい、そして優子さんも」
「お互いにね」
二人で言うのだった、龍馬は優子とも笑顔で別れ合ってからだった。
学校に向かった、もう傍に優花はいないが彼は一人ではなかった。そのことを実感しながら学校の門を潜ってその中に入った。
第十七話 完
2016・4・12
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