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Blue Rose
第十七話 旅立ちその七

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 しかしだ、それと共にというのだ。
「新幹線に乗るのはね」
「そういえば最近ずっと乗ってなかったわね」
「そうだったからね」
「そうよね、新幹線もね」
 優子も言う。
「縁がないとね」
「乗る機会がないね」
「一つの町にずっといたら」
 そうした生活をしていると、というのだ。
「あまり乗らないわね」
「そうだよね」
「私もね」
 かく言う優子もだった。
「お家は病院と近いから」
「バスで行ける位のね」
「実際にバスで言ってるしね」
「歩くこともあるよね」
「ええ、そうした距離だから」
 自宅と職場のそれがというのだ。
「あまりね」
「姉さんも新幹線乗らないわね」
「そう、だから優花に会いに行く時は」
 彼女も長崎に行く時はというのだ。
「新幹線に乗るわ」
「そうするんだね、姉さんも」
「ええ、そうするわ」
 こう微笑んで言うのだった。
「私もね」
「そうなのね」
「新幹線はいいわ」
「姉さん新幹線好きだったんだ」
「好きよ」
 実際にという返事だった。
「あの電車には何ていうかロマンがあるのよ」
「新幹線に?」
「そう、日本の高度成長の象徴の一つで」
 このことはその高度成長の時に開通したからだ、東京と大阪の間を僅か数時間で行くことの出来る夢の様な電車としてだ。
「そして今もね」
「日本全土をだよね」
「横断しているわね」
「そうだよね」
「速いままで」
「日本の電車の象徴みたいなものだから」
「ロマンがあるのよ」
 こう優花に言うのだった。
「姉さんから見るとね」
「ロマンだね」
「中も快適だしね」
「うん、快適なのはね」
「そうでしょ」
「他の電車に比べて」
 乗り心地もいい、新幹線はそうしたことでも評判がいいのだ。
「僕そのことも好きだしね」
「あんないい電車はないわ」
「そうだよね、それはね」
「優花も思ってるでしょ」
「本当にね」
「それならその乗り心地のよさも楽しみながら」
 そうしてというのだ。
「長崎に行ってね」
「そうするね」
「心配して不安になっていても」
 どうしてもだ、そうした感情があってもというのだ。
「楽しくね」
「長崎に行くんだね」
「そしてあちらでもね」 
 長崎に行ってだ、療養所に入ってもというのだ。優花が女の子になるまでその身を隠す場所の中でもというのだ。
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