暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第236話 少女たちに誘われて
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見ながら首を傾げた。

「ん? どうした?」

 その言葉を訊いて、ランは漸く自分が、リュウキの事を見て ほとんど固まってしまっていた事実に気づき、思わず両手を振った。

「あ、いえ。何でも無いですよ。ちょっと考え事をしてて………」
「そうか」

 さしたる疑問、そして 疑いを持つ訳でもなく リュウキは追及をする事なく、あっさりと話しを終わらせた。

 が、ランにとってはまだ内心穏やかではなく、口調こそ動揺を隠せているが、それでも合いすぎた符合、ここから どう進めていけば良いかを模索し続けていた。

 そして――数秒ではあるが、ランは何度も考えに考え、一周回った所で 手を選択した。

「今後の参考までに訊いてみたいんですが、僅差……と言いましたが、具体的には判りますか? 勝敗。明暗を分けた差が()なのか」

 ランは質問をしながらも、既に回答を頭に思い浮かべていた。

 何故なら、彼女なら……、彼女なら 間違いなく、こう言うだろう……と思っていたから。だからこそ、直ぐに頭の中で解答例を思い浮かべる事が出来たのだ。

「ん―――」

 リュウキは、ランの言葉を訊いて 腕を軽く組み、人差し指の第二関節を折り曲げて、顎下に添え、考え始めた。

 そして――ものの数秒後。


「敢えて言うなら、君の太刀筋は―――――――」


 ランは、その先の言葉を訊いて――、目の前の景色が変わった。

 それは見覚えのある景色。……そう、まるで初めて体感したあのVR世界。

 彼女や妹のユウキと 初めてフルダイヴした自然と太陽で満たされた世界。



「―――少々素直すぎた(・・・・・)な。だからこそ、手の先を読む事や最善策の手を択べた。……相手を()抜く君の技量は本当に凄かった。……でも、少し老獪さが足りなかった。――が、とは言っても、言う様な明確な差ではない。刹那程の差だ。次はどうなるか判らない」 


『どんな勝負でも、二手、三手先を読まないとダメって事だね。―――ランさんも、とっても素直な性格(・・・・・)だからかな? とっても読みやすいよー―』



 これも、単なる偶然かもしれない。
 そう、冷静に考えてみれば――、直接勝負をしたのだ。自分自身の印象が伝わる事だって、きっとある筈だ。……全力でぶつかったからこそ、伝わる事だってある筈だから。だから、深い意味は無い事だってあり得る。

 だけど、ランは 無意識に リュウキの方へと手を伸ばした。

 真っすぐに伸びる右手は、リュウキの手を求めている。

 リュウキ自身はただの挨拶。勝負が終わった後の挨拶程度にしか考えてなかったのだが。

「ん?」

 手を握った途端に、ふわりと身体が浮いた。

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