暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−−鼠と鴉と撫子と
5,森の中の死闘
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機会を伺った。

「…ハァァ」
両手剣基本スキル「スラッシュ」を放ち、リトルネペントを軽く浮かせた。チャンスはここしかねぇ。
「ッスイッチ!!」

叫びながら頭から倒れるようなフォームで走りだす。ソードスキルの立ち上がりを感じた俺は狙いを定め、短剣の突進系ソードスキル「ウインドダイブ」を放った。

スキルの名の通り、一陣の風となった俺は一直線にリトルネペントの喉元へと突き刺さる。
弱点を一撃でついた攻撃でリトルネペントのゲージをレッドまで追い込むが、予想通り、まだ死んではいない。

スキル後の硬直を埋めるように俺は突き刺したナイフを引き抜き、同時に全力で投擲する。
「いっけェェェェ」
ゼロ距離から放たれた凶弾は巻き直しのように弱点を貫き、ポリゴン片が爆散した。

アルゴの方を見れば、まだ戦闘は継続中だが、無数の投げ針が辺りに散らばっていた。タゲ取りを優先していたようだがネペントは黄色ゲージ。加勢すればすぐに決着はつくだろう。

「よし、アルゴ。スイッチいくぞ」

そう叫んで駆け出そうとしたところで、リトルネペントが急に体の向きを変えた。俺がタゲを取ってしまったのかと一瞬思ったが、俺を通り過ぎ、細く頼りない足を必死に動かして、森の中へと走っていった。

「ここのMOBって逃げる設定とかあったのか?」
「いや、聞いたこと無いナ。初耳ダ」

アルゴの耳にも入っていない行動パターンなんてあり得ないだろう。俺もβテストの時はイベントクリアの為に散々この森で狩っていたが、こんなイレギュラーに出くわしたことはない。あったイレギュラーといえば……

「「マサカ」」

どうやら情報屋の方も同じ結論に至ったようだ。

もしも、この中の誰かが<実付き>と無知のまま戦っていたとしたら……そしてそんなことをしそうな阿呆な初心者が一ヶ月間、生き残っているはずがない。

「あの馬鹿女。なんでこんな時にレアモンスター引くんだよ」

森の中に走っていったリトルネペントを追って、俺も森の中に突っ込んだ。





居た。

リトルネペントを追って一分。ようやく俺は騒ぎの中へと到着した。
十数体のリトルネペントに囲まれているのは、予想通りの大和撫子だった。
刀は見るからに刃が欠け、HPゲージを半分以上まで削られている。

いや、この状況で数十秒とはいえ、初心者がよく生き残ったもんだ。

「ヤヨイ!!!」

叫びながらも咄嗟に「シングルシュート」を放って追ってきたリトルネペントを屠る。予備の短剣をすぐにオブジェクト化してそのままガムシャラに中へと突入した。

「ッッッ」

たどり着いた時には、息を呑む声が横から聞こえた。顔を思いっきりひっぱたいてやりたいが、今はそんなことに時間を割いている暇
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