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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十一話 元帥杖授与
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に起きた。席を立ち応接室を出ようとするフェルナー大佐に司令長官が声をかけた。

「アントン、ギルベルト・ファルマー氏は元気そうだね」
「!」
「?」

フェルナー大佐の後姿が目で分るほどに緊張した。彼はゆっくりと振り向くと
「知っているのか?」
と司令長官に問いかけた。

「知っている。ルパート・ケッセルリンクと会っていたことも」
「……参ったな。弁務官事務所には注意していたんだが」
苦笑とともにフェルナー大佐が答える。どういうことだ、二人とも何を話している?

「弁務官事務所じゃない。情報部だ」
「情報部……」
情報部! フェザーンでの任務には何か秘密が有るのだろうか? ミッターマイヤーも緊張している。

「済まないね、アントン。念のため用心させてもらった」
「いや、当然の用心だと思う。やはり卿だな、ヴィオラ大佐では俺の相手は無理だ」

フェルナー大佐は不敵といって良い笑みを見せると敬礼してきた。ヴァレンシュタイン司令長官も答礼する。俺たちも慌てて答礼した。

フェルナー大佐が部屋を出て行くとヴァレンシュタイン司令長官が少し寂しげな表情で話し始めた。

「ギルベルト・ファルマーというのは、フレーゲル男爵のことです」
「……」
フレーゲル男爵か。フェルナー大佐が会っていたということはブラウンシュバイク公の命令で会っていたということか。しかし、ルパート・ケッセルリンクとは?

「まあ、それは良いのですが……。もう一人のルパート・ケッセルリンクは、アドリアン・ルビンスキーの部下なのです」
「では、ブラウンシュバイク公は」


「フェザーンとの関係を強めようとした、そういうことでしょうね」
「貴族たちは時間を待つのではないのですか?」
「いつでも動けるようにしておく、そういうことでしょう」

どうやら俺は考え違いをしていたようだ。のんびりしている時間は無い。貴族たちは十年待つつもりはない、十年の間に動くという事だ。早急に艦隊を再編する必要があるだろう……。


帝国暦 487年9月 21日   オーディン 新無憂宮 ライナー・フォン・ゲルラッハ


広大な黒真珠の間に大勢の人間が集まっている。皇帝の玉座に近い位置には帝国の実力者と言われる大貴族、高級文官、武官がたたずんでいる。彼らは幅六メートルの赤を基調とした絨緞をはさんで文官と武官に分かれて列を作って並んでいる。

一方の列には文官が並ぶ。国務尚書リヒテンラーデ侯、フレーゲル内務尚書、ルンプ司法尚書、ウィルへルミ科学尚書、ノイケルン宮内尚書、キールマンゼク内閣書記官長、そして私、ライナー・フォン・ゲルラッハ財務尚書。

反対側の列には武官が並ぶ。エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、クラーゼン元帥、オフレッサー上級大
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