第36話 serment
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」
「お、お説教だなんてそんな...」
「でも俺さ、間違ってた。μ‘sのこと...花陽の事をよくわかっていなかったよ。花陽がこんなにも、俺の事を想ってくれていたんだから」
大地にとっては、それがとても嬉しかった。
あの花陽が、引っ込み思案で自分の気持ちを素直に話せない花陽が彼の為に、自分の気持ちを吐露したことが。
『私だって、大地くんの力になれます』と、大地の為にああ言ってくれたことが嬉しくて、胸にしみてきて。
さらに大地は花陽を強く抱きしめる。
「俺さ...怖かったんだ」
「...”秘密”がバレることが、ですか?」
「それもそうだけどさ、バレたことでみんなと距離を置かれてしまうんじゃないかって。みんなに限ってそんなことないってわかってたけど、それが何よりも怖かったんだ。だからこうして花陽に受け入れてもらえて、俺の力になれると言ってくれた事が嬉しかったんだ」
大地の目から僅かに光るものが見える。
「俺は弱虫で、泣き虫だ。たったそれだけのことでこうして花陽に崩れている。君の優しさが嬉しくて...今までやって来たことが無駄じゃなかったんだって思えてきて」
「無駄なんかじゃないです。でも大地くんは今日までずっと一人で戦ってきたんです。だから今度は私を...”私たち”を頼って欲しいんです」
恥ずかしがりながらも、花陽は大地と同じように抱きしめ返す。
「大地くんは私にこう言ってくれました。『花陽の笑顔も............俺が守ってやる!』って。だから今度は、私にも同じセリフを言わせてください」
その言葉に大地は一旦離れて、花陽の口もとに注視する。
そして、動く口はとてもゆっくりに見えていた。
でも彼ははっきりと聞くことができた。
それは大地自身がかつて、目の前の少女に向けて放った言葉。
スクールアイドルになるか否か、葛藤していた彼女に背中を押した一言。
それを今度は放った本人に向けて、彼女の想いを載せて放たれた。
「......あぁ、そう...だよな」
光がポタリポタリと薄汚れた床に落ちる。
今まで守り続けてきたものが、氷が解けているのを表していた。
花陽の優しさと真っ直ぐな気持ちに助けられた大地はもう一度顔をあげる。
そこには笑
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