アインクラッド編
旅立ちの決意
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に進んでいけばいい?
1つの疑惑は新たなる疑惑を生み、不安がいっぱいになる。
頭の回転の速いアスカは次から次へと連鎖的に疑念の根を伸ばしていく。
圏内に留まるという選択肢を選び、今すぐ布団にくるまって何も考えずに寝たいという衝動に駆られる。
しかし、それでいいのか?
この世界に怯え、恐怖し、絶望し、安全なところに引きこもり続けるのか?
そんなことを続けていたらどうなる?
分かりきっている。
腐ってしまう。
この世界に負けた代償として、自分は自分のままでいられなくなり、いずれ朽ち果てる。
多くのことを考えて、容量オーバーになったアスカの脳内で、断片的な思考が生み出されていく。
緊張でのどが乾き、何十時間と睡眠を取っていないことと極限の疲労により意識が朦朧とする。
それでも、思考のかけらは生み出されていく。
理不尽だ。
なぜ自分なんだ?
ただ、兄のかわりにゲームを1日借りただけなのに?
いままで優等生として生き続けてきた自分が、母親の言を破り、ゲームなどに触れたバツなのか?
ふざけるな。
こんな事で死んでいいものか。
訳も分からないまま死にたくない。
――――憎い。
何が?
決まっている。
この世界が。
理不尽なこの世界が。
仮想世界の分際で、人を殺そうとするこの世界が。
負けたくない。
たとえ死んでもこの世界、このゲームには。
怯えながら消えていきたくない。
ならどうする?
戦え。
死ぬとしても、戦い続けろ。
憎むべき仮想データの敵を殺しながら死ね。
しだいにアスカの思考は絶望から離れ、憎しみ、怒りへと変わっていく。
そして―――
「たとえ怪物に負けて死んでも、このゲーム、この世界には負けられない・・・・どんなことがあっても」
決意の言葉を口にし、アスカは戦うことを選んだ。
この世界と。
いざ覚悟を決めると、体は思った以上に拒否反応を示すこともなく動き始めた。
一睡もしないまま、アスカは部屋を出る。
寝ていないから、頭は少し重く、体も疲れを訴えてくる。
圧倒的意志力を持ってして、それらを無視して、NPCの店員に目もくれず、ドアを開けて外に出る。(お金は最初に払っているので、問題ない)
宿屋から出ると、まだ日が昇っておらず辺りは薄暗く、仮想の冷たい風がアスカの立つ路地を吹き抜けていく。
すでに起きていたのか、はたまたアスカ同様に寝られなかったのか、かなりの人数のプレイヤーが外にいて、みんな、不安に駆られたような表情をしている。
1人でいるものは少なく、何人かで話し合っている声が聞こえる。
みんな、これからどう
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