アインクラッド編
旅立ちの決意
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コルを貯めるにはモンスターを狩るしかない。
そう考えた途端に、体温が急激に下がり、気持ち悪い感覚が体中をはいずり回る。
先ほどまで夢中になって狩りをしていたことが信じられない。
万が一、先ほどの狩りでHPバーが尽きていたら、アスカは死んでいたのだ。
今はフィールドどころか、宿屋の外に出ることすら怖い。
死のリスクを負って、狩りをするなど馬鹿げている。常識の埒外の行動だ。
だが、残念なことにコルを入手する方法はモンスターを狩るしかない。
生産職のスキルを身につけて、商売をすることによりコルを儲けることもできないことはないが、説明書には、鍛冶屋やショップを開くには多額のコルが必要だと書かれていた。
手持ちの全額2000コルでは、まったくもって足りない。
フィールドに出て、モンスターを狩り続ける。
自ら命を投げ出す行為だと思う。
アスカは一瞬、倒したモンスターが無数のポリゴン片とるように、自分の体が、HPが0になった瞬間砕け散る様を想像して、全身の産毛が逆立つような不快な感覚が駆けめぐり、思わずぎゅうっと体を強く抱く。
怖い。無理だ。戦いたくない。
だが、フィールドに出てモンスターを狩ることのメリットは、コルが入手できることだけではなく、経験値が貯まりことによるレベルアップもある。
アスカの頭の中には1つの恐ろしい疑惑の芽があった。
それは、説明書には圏内にモンスターは現れず、いかなる手段を持ってしてもプレイヤーのHPゲージが減少することはないと書かれていたが、デスゲームとなった今、茅場昭彦によってそれが永続的に保証されるかどうかは疑わしい、ということだ。
万が一、億が一、圏内が消えてしまい、出現するモンスターとの間に絶対的レベル、ステータスの差がある状況なら、レベル2のアスカなどすぐに死んでしまうだろう。
自分自身の強化のためにもモンスターを狩ることしか手はない。
フィールドに出るか、否か。
自分の命が掛けられていることなので、大半が機能していない今の思考回路で決断を下すのは早急な気がするが、
残念なことに時間に余裕があるわけではない。
決断を先延ばしして、ずるずるとコルを使ってしまったら、その分アイテムを購入するコルは相対的に減る。
今すぐにフィールドに出るのなら、アスカの手持ちのコルでもポーション類のアイテムや防具を購入することも可能だが、コルを宿代と食事代に使っていけば、十分な装備を用意することが難しくなっていく。
それは死ぬことのリスクを自らの手で上げていることと同義だ。
圏内は安全か?
本当に圏内ではHPが減らないのか?
フィールドに出るにしても、ネットゲーム初心者の自分が生きていけるのか?
モンスターを狩るうえでの危険はどれほどあるのか?
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