アインクラッド編
異世界の暗転
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ネットゲーム初心者の自分1人ではどうすることも出来ないと判断して、〈始まりの街〉に戻って他の人に助けを求めようとしたアスカの耳に
リンゴーン、リンゴーン
と,大きな鐘の音が聞こえた。
途端、アスカを青い光が包み込み、視界が真っ白に染め上げられる。
体を包み込んでいた青い光が消えると、自分が立っていた草原から風景が変わっていた。
周りを見渡すと,ここが〈始まりの街〉の中央広場であることが分かり,広場にはアスカを含め大勢のプレイヤーがいることから,運営側から全員,強制転移されたのだろう。
アスカは戸惑いながらも、強制テレポートがプレイヤーの意志に関係なく施行されたということは、ようやく運営側から何らかの対応が取られたのだろうと考える。
しかし、アスカのその考えは残念なことに違っていた。
多くの者が戸惑い、何人かがわめき声を発していたときにアスカの眼前に〈それ〉は現れた。
【Warning Warning】
遙か上空に夕焼けのオレンジ色の空を塗りつぶすように、どす黒い赤色のシステムパネルが次々と展開されて、空を埋め尽くしていく。
そのパネルの隙間から垂れ下がった血液の滴のようなものが寄せ集まり、身長20メートルはあろうかという深紅のフード付きローブをまとった巨大な人のようなものへと成り代わる。
正確にはフードの中に顔がなかったので人ではないのだが・・・・。
顔のないことに対して言いようのない不安に駆られたアスカが見つめる先で〈それ〉は、この場にいるプレイヤーたちと対照的に、男の、低く落ち着いた声を発した。
「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ」
意味の分からない発言にアスカは顔をしかめる。
あれがもしも運営サイドの者なら確かにこのゲームにおけるすべてのことを操作する事の出来る神のような存在なのかもしれないが、そんなこと今更宣言してなんになるというのか。
しかも、運営側のミスでログアウトできないというのに、落ち着いているというのも、許されない。もっと焦っているべきだし、最初に非礼を詫びるべきだ。
不審に思っているアスカの前で、〈それ〉はさらに言葉を続けた。
「私の名前は茅場昭彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。」
「なっ・・・!」
周りのプレイヤーたちが驚きの声を上げる。
アスカも知っているが、彼は極力メディアへの露出を避けてきており、見ていたテレビでも彼の顔が映されるようなことはほとんど無かった。
そんな彼がこのタイミングで出てきたことは多くの人にとって予想外だった。
早くログアウトさせてくれよ・・・・。
焦るアスカに対して〈それ〉が発した言葉は冗談でも笑えないものだった。
「プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消失している
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