アインクラッド編
異世界の暗転
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こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーブギアが強制的に除装される危険はすでに低くなっていると言って良かろう。今後、諸君の現実の体は、ナーブギアを装着したまま2時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送されて、厳重な介護体制の元に置かれるはずだ。諸君には、安心して・・・・ゲーム攻略に励んで欲しい」
ついにそこで、どこかから鋭い叫び声が上がる。
アスカも叫びたくなる。現実世界の体を放ったまま遊ぼうとする輩がどこにいる。
だが,〈それ〉はこちらの叫び声など無視して話を続ける。
「しかし、充分に留意して貰いたい。諸君にとって〈ソードアートオンライン〉は、既にただのゲームではない。もう1つの現実と言うべき存在だ。・・・・・今後、ゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントが0になった瞬間、諸君らのアバターは消滅し、同時に―――
諸君らの脳はナーブギアによって破壊される。」
アスカは不意に自分のHPバーに視線を移した。レベル2になったことにより、レベル1のときより少しだけ増えた342/342という数字が目に入る。
この数字が0となったとき、自分は死ぬ・・・・?
先ほどまで倒していたイノシシ型モンスターと同じように、攻撃をくらった自分の体が無数のポリゴン片へと砕け、消滅したら、自分の現実世界の脳はナーブギアによって焼かれ――――ベットの上で物言わぬ体となる・・・?
「嘘だろ・・・・・・おい・・・」
回転の遅い頭で必死に考えを巡らす。
・・・・だが、おかしくないか?
自分の命が掛けられた状況で、フィールドに出る者など現れるのか?
全員が安全な〈始まりの街〉に閉じこもって、外部からの救援を待つはずだ。
だが、
「諸君がこのゲームから解放される条件はたった1つ。先に述べたとおり、アインクラッド最上部、第100層までたどり着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう」
〈それ〉は逃げ道を完全に塞いだ。
もはや、言葉も出ない。
全員がログアウトするためには第100層までたどり着き、最終ボスを倒す必要がある。
だが、ログアウト第100層突破するまでにどれくらいの人が死ぬ?どれほどの時間が掛かる?
ネットゲーム初心者のアスカには見当も付かない。
遂に耐えきれなくなった膝ががくんと折れ、地べたに座り込む。
立ち上がろうとするが、体中から力が抜けきっている。
〈それ〉は抑揚のない声で、事務報告を行っているかのような様子で続ける。
「それでは、最後に、諸君にとってこ
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