アインクラッド編
異世界の暗転
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ことに気づいていると思う。しかし、ゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、〈ソードアートオンライン〉本来の仕様である。」
「本来の・・・・仕様・・・?」
言葉の意味が咀嚼できない。
アスカは自分の声がかすれているのが分かる。
「諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない」
アスカを含めた全プレイヤーの動揺など関係なく、言葉は続く。
「・・・・また、外部の人間の手による、ナーブギアの停止あるいわ解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合―――ナーブギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる」
何を訳の分からないことを言っているんだ、とアスカは思った。
脳が破壊され、生命活動が停止する。
つまり、死ぬということだ。
不可能だ。
原理としてはどの家庭にもある電子レンジと同じだ。高電圧を掛けることによって物体を加熱する。
だが、人を殺せるほどの高出力のマイクロウェーブを発生させようとしたら、相当な電圧が必要なはずだ。電源を切断してしまえば、そんな高電圧、生み出せるはずが―――
「バッテリー・・・・・」
説明書に書いてあった文章を思い出して、アスカは掠れた声で呟く。
ナーブギア本体の重量の内、3割はバッテリーセルだと書かれていた。
それだけの大容量の予備電源があれば、不可能ではない・・・・?
実行可能であると理解した途端、アスカの体に怖気が走る。
「より具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回路切断、ナーブギア本体のロック解除、分解または破壊の試み――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局及びマスコミを通じて告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーブギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果」
その言葉の続きをアスカは聞きたくなかった。
「――残念なことに、すでに213名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも永久退場している」
「213名が・・・・死んだ・・・・?」
213名?全プレイヤーの50分の1がすでに脳を焼き切られて死んだ、とあの男は言ったのか?
アスカは始まりの街で少なくとも5000人近くのプレイヤーを目にした。
あの中の100人はもうこの世にいない?
もうすでに脳を焼き切られて亡くなっている?
現実として認識できない。
認識していないはずなのに、体中が震え、膝に力が入らない。
倒れそうになるのを懸命に堪える。
少しずつ、事態の深刻さを理解し始めたプレイヤーたちにより、場のざわめきが大きくなってきている。
「諸君が、向
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