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八神家の養父切嗣
六十話:例外
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…えらい自信満々やな。相手は六人やってのに」
「ああ、そうだとも。願望の器を手にしながら私を楽しませてくれる敵の登場を願う(・・・・・・・)程度にはね」

 歪んだ笑みがさらに深まる。その異形の笑みにはやて達はスカリエッティが本気で言っているのだということを悟る。しかし、何故彼がそのような思考をしているのかは分からない。だが、彼女達はすぐに知ることになるスカリエッティという悪魔が生み出した悪夢の姿を。

「奇しくもここにいる者達は皆衛宮切嗣との戦闘経験がある。さて、ここで質問だ。彼のレアスキルの正体を君達は知っているかね?」
「体内の時間の操作やないんか…?」

 はやて達が今まで見てきたのは切嗣が自分の体内時間を操作し加速する姿だ。そこから考えればはやての考えが最も正当に近いだろう。しかしながら、それだけであれば今回の計画の最も重要な部分を担うことはない。

「そうではない。彼の力は―――自由自在に時間を操ることのできる世界を創り出すことだ」
「やけど、そんな力は……」
「その通り、衛宮切嗣は使っていない。いや、正確には体内に限定して創り出すことで体にかかる負担を抑えていたのだ。仮にそれを外の世界に創り出すのであれば彼一人(・・・)では命を引き換えに、否、それでもなお不可能な所業だ」

 固有結界を自身の外に出すということは世界を塗り替えるということだ。人間という小さな存在では世界の修正力により殺されかねない。それ以前に展開することもできずに死ぬのが殆どの人間が辿る道であろう。

「脆弱な人の身では世界を変えることはできない。機械ならば体は持つだろう。しかしながら機械では世界を生み出すという奇跡は起こせない。そう、人と機械(・・・・)ではどちらも不可能だ」

 スカリエッティの目が怪しく輝く。その目は見る者を凍り付かせるような冷たさと恋い焦がれるような情熱に満ちていた。人の身では限界を超えることはできない。機械ではそもそも奇跡を起こせない。ならば―――



「―――だがここに例外が存在する」



 ―――人でも機械でもない存在で超えればいい。
 単純な発想だ。両方でダメならば二つを合わせればいい。人間と機械どちらにも成れない存在という危険性を超えれば戦闘機人は―――その両方を超えられる。

「お見せしよう。観客は少ないが初演であれば仕方がない」

 スカリエッティを中心に空間が歪み始める。風が吹き荒れ空気から水分が抜かれたかのように乾燥していく。全員が直感する。あれを完成させてはならないと。

「止めるんや! 何が何でも!」
「分かってる。エリオ、キャロ、いくよ!」
『はい!』

 フェイトとエリオが直接止めに走り、キャロが二人に補助魔法をかける。スバルも二人に加わり、はや
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