第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
六十一話 百鬼夜荒 肆
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かの様に、左右それぞれ六個の青い菱形の光弾が牙を抜く。
馬鹿正直に迎撃する必要を感じなかった勇義は、上空に跳び上がる事でそれを回避した。
攻撃対象を失った光弾達は互いにぶつかり合うと激しい閃光を発し、その光は夜闇を塗り潰すかの様に周囲を包み込んだ。
突然の閃光を腕を楯にして目を守る勇義だか、反応が遅れ視界が白に奪われてしまう。
その白い世界に堕とされた勇義は、頭に鳴り響いた警鐘に従い本能が導くまま腕を後頭部側へと振るった。
それとほぼ当時に鋭い何かが、鎧鋼で鋼鉄の如き硬度を得た勇義の腕とぶつかり合い高く金属的な音が響き渡らせる。
勇義の視界を奪うと同時に背後から首筋目掛け刃を振るった虚空は、予想以上の勇義の直感と反応の良さに驚嘆を通り越し呆れた。
内心で「やっぱりルーミアと代わった方が良かったかな?」等と愚痴るが、文句を言っても現実は変わらない。
虚空の一撃を受け止めていた勇義だか、嫉妬の斥力で弾かれ大地へと叩き付けられる。
まるで巨大なナニかに踏み潰されたかの様な惨状と化した大地の中心で、
「ッ!チィ!このッ!!」
忌々しさを隠さない言葉を吐き、直ぐさま起き上がり上空へと視線を向けた勇義が捉えたのは、すぐそこまで迫っていた十数個の光弾の雨であった。
「そんなモンでェェェェェッ!!」
勇義は叫ぶと同時に地面を力強く踏み付け、天を射抜くかの様に拳を直上へと振り抜く。
その拳から放たれた衝撃は、まるで山の噴火の如き暴威を振り蒔き迫っていた光弾の群れを一つ残らず打ち消した。
それだけでは飽き足らないのか、暴流は更に天へと翔け上がり夜天の彼方に消えていく。
だが地上では拳を打ち出した格好の勇義がナニかに引かれる様に空を飛び、引力を使っている張本人である虚空が勇義へと向け翔け、彼女の首目掛けエストックを鋭く突き出した。
今度こそ捉えた、と虚空が確信した目の前で――――
「ウオォォォォォッ!!」
勇義は雄叫びと共に嫉妬へと拳を振り下ろし――――
嫉妬の刃が鈍い音を立てて砕け散った。
虚空はその光景に驚きを隠せないが、勇義と擦れ違う寸前に右手に持つ刀で追撃をかける。
だがその時には既に勇義は余裕を持ってその一撃を回避し、二人は数mの距離を取って再び対峙した。
虚空は手元に在る砕けた嫉妬に視線を落としながら、
「………いや〜折られた事は何度か在ったけど、流石に砕かれたのは初めてだよ。
凄いね君…此処まで来ると驚きを通り越して笑えてくるよ!ハハハハッ!」
本当に可笑しそうに声を上げて笑いながら砕けた刃を放り投げる。
虚
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