第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
六十一話 百鬼夜荒 肆
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ある相手ならそれだけで気圧し屈服させる事も出来る。
それは特別な事ではなく、極々当たり前の事だ。
それらの“氣”は隠したり消したりする術はある、が――――虚空は違っていた。
「?……君が何に怒っているのか分からないけど、最初に言ったでしょ?
こう見えても真面目だ、って」
勇義の言葉に虚空は疑問符を浮かべながらそう返答する。
勇義の言う通り、虚空は殺氣や覇氣等を発してはいない――――と、言うよりも……虚空は元々そういう発氣と呼ばれるモノを持ち合わせていないのだ。
彼女を侮っている訳でも、嘗めている訳でも無く――――唯々、自然体なだけ。
虚空の氣質はどんな状況であろうと変化する事はない。
意識してそうしている訳のでもなく、無意識でそうなのだから勇義の憤りを理解出来る訳がないのだ。
「君が怒ってる理由は分からないけど、言った事は本当だよ…僕は嘘が嫌いだからね。
あぁそうすると、嘘が嫌いな者同士仲良く出来ると思わない?」
怒りの眼差しで射抜く様に虚空を見る勇義に、彼はそう言いながら笑顔を浮かべる。
だが勇義は彼とは真逆に、表情に更に怒りを刻みながら、
「戯れ言をほざくなって言ってんだよッ!!
あたしはねッ!アンタみたいな奴が大嫌いなんだッ!!」
周囲の空気を震わせる程の怒声を放ち、大地を震撼させる様に烈氣を迸らせた。
鎖から解き放たれる寸前の怪物、と形容しても過言では無い勇義を目の前にしても虚空の表情に変化は無く、
「アハハ、それは残念……でも僕は君みたいな子は好きだよ。
強い信条や信念を持っている子はね――――僕には無いモノだから」
そう言うと虚空は、その手に持つ嫉妬の鋒を地面へと射し込んだ。
そして、地面へと向け斥力を放つ。
すると斥力の圧に押され土砂が津波の如く勇義に対し襲いかかる。
大抵の者ならばその光景に動揺、もしくは対処へも焦りを見せるが――――当事者である勇義は微動だにせず、腰を落とし拳を構えた。
勇義が打ち出した拳から放たれた衝撃波が、土砂の波濤を吹き散らすがその先に虚空の姿は既に無かった。
索敵の為に視線を巡らそうとした勇義の視界の端にに、ふいに青い輝きが映りこむ。
左右から彼女を挟み込む
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