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反逆者
第四章
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 そういったものは全くなかったとだ。ゲーリングは言い捨てるのだった。
「若しあれ以上あの男が生きていればだ」
「内相は間違いなく失脚されていましたね」
「そしてお命も」
「私もだ」
 ゲーリング自身も危うかったとだ。彼は今度は苦い顔になって述べた。
「私自身もだ」
「危うかったですか」
「閣下も」
「そうだ。あの男は総統閣下と違う」
 ヒトラーとハイドリヒはだ。全くの別人だというのだ。
「まさに魔人だった」
「そしてその魔人がいなくなりました」
「内相は総統の座は望まれていません」
「それならナチス=ドイツの次の総統は閣下です」
「そうなりますね」
「そうなるだろう。しかしだ」
 だがそれでもだとだ。ゲーリングはまた己の顔を変えた。今度は忌々しげな顔になってだ。そのうえで己の側近達にこう話したのである。
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