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Bitter Chocolate Time
4.改心
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純粋に好きだったんだよ。海棠くんに抱かれたら、どんなに幸せだろう、ってずっと思ってたんだよ」
 アヤカは涙声になっていった。
「海棠くんのことを想いながら、一人で濡らして、一人で慰めてた。毎晩のように」アヤカは顔を上げた。「でも勘違いしないで、私、海棠くんとのエッチだけを望んでたわけじゃないよ、貴男と二人きりで話したり、貴男と一緒に食事したり……。ちゃんと普通の恋愛感情もあったんだよ」

 ケンジは黙っていた。

「でももう手遅れだよね。私、インランな女子高生に堕ちちゃってるよね」アヤカはまたうつむいた。「結局貴男は……私が何を言っても、何をしてもこっちを見てはくれなかった」
「残酷なこと言うようだけど、俺、お前を好きにはなれない」
「当然だよね」アヤカは涙を右手で乱暴に拭って言った。「あんなヒドイことしたんだもんね。当然だよ……」そしてケンジから目をそらし、小さな声で言った。「私のやったことは犯罪だよ……」
「悪いけど、お前の気持ちは受け止められない。でも、少なくとも憎んではいない」

「え?」アヤカは顔を上げ、目を大きく見開いた。

「他の女子に対する気持ちと、あんまり変わらない」
「海棠くん……」

「俺には、幸運なことに今、思い切り好きな人がいるんだ。だから他の女子を好きになれるわけがない。それだけだ」

「知ってる……」アヤカは独り言のように呟いた。「康男君たちから聞いた」
「そうか……」
「私、それを聞いちゃったから、あんなことしたのかも知れない……」
 アヤカの目からぽろぽろと涙がこぼれ落ち、彼女の荒々しく大きな声がロッカールームに響いた。「海棠くんが他の女のモノだって、信じたくなかった!」

 ケンジのバッグの中から短いチャイム音が鳴った。彼はバッグのチャックを開けて自分のケータイを取り出すと、ディスプレイを見た。ケネスからの空メールだった。ケンジは右手でキー操作してすぐにディスプレイを閉じた。

 アヤカは右手で乱暴に涙を拭った。そして洟をすすって目を上げた。「海棠くんの好きな人から?」
「……うん」
「深い仲なの? もう」
 ケンジは少し間を置いて言った。「いいや」
「その子も海棠くんのことが大好きなんでしょ?」
「この大会が終わったら、俺の方からちゃんとコクって確かめる」
「……真剣なんだね、海棠くん。きっとうまくいくよ」アヤカはうつむいた。
「そうだといいけどな」
 アヤカは小さく震える声で言った。「昨日の私との出来事もその人に話す?」
 ケンジはアヤカの目を見つめ返した。「俺は忘れたい。お前も覚えてて欲しくないだろ。仮に昨夜のことを彼女に話したとしても、お前がますます悪者になるだけだ。そんな意味のないこと、俺はしたくない」

 アヤカはまた目を伏せた。「海棠くん
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