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Bitter Chocolate Time
4.改心
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のことが可愛くて、愛しくてたまらない」
「へえ、そうなんだ」アヤカは腕を組み、にやにやしながら聞き返した。「それで?」
「だから、あいつがケニーと幸せになって欲しいと思ってる」

「(へ?)」ケネスの頭上にクエスチョンマークが飛び出した。
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「妹は俺の親友ケニーと付き合ってる。もちろんすでに深い仲だ。だからあいつを幸せにできるケニーが日本に定住することになって、俺は心から喜んでるんだ」
「でもどうしてエッチの時にマユミの名前をつぶやくわけ?」
「ケニーとあいつが愛し合っているところを、俺は見てしまったんだ。そのことが、その光景が頭から離れない。強烈に記憶に残ってる」
「ふうん」
「その時は俺も自然と身体が熱くなって、もう少しで漏らすところだった。でも相手がケニーでなければ飛びかかって引き離していただろう。その時のことを思い出したのさ」

「なんだ。あんまりおもしろくない」アヤカは期待外れの顔をしてため息をついた。
「もういいだろ」ケンジは頬を少し赤くして、再びその部屋を出て行こうとした。
「待って」アヤカが呼び止めた。ケンジはドアのところで立ち止まった。すぐそばの外の壁にケネスがアヤカからは見えないように張りついている。
「私、そのケニーともエッチしたんだ。知ってるよね」アヤカの声が低くなった。

 ケンジは黙っていた。

「私、きっと病気なんだ」
「病気?」
「心の病気。誰にも相手にされない寂しさやむなしさが、悔しさや怒りになって攻撃をしたくなる」
「いや、お前何人ものオトコに言い寄られてるじゃないか」
「みんな私のカラダ目当てだってこと、わかるもん。そんなのいや」
「だからって、」
「そう、だからって、あなたやケニーを無理矢理捕まえてエッチしたって、心の病気が治るわけじゃない。それはわかってる」
「アヤカ……」
「海棠くん……」アヤカはひどく落ち込んだようにうつむいたまま言った。「私、どうしようもない女だよね」
「……」
「こんなことしてもあなたが私を好きになってくれるわけないのに……」
「…………」

「私、海棠くんが朝から腕に包帯しているのを見て、ああ、私のせいで怪我がひどくなったんだろうな、って思った。でも、だから何なの? って思ってた」アヤカは少し笑った。「悪魔みたいだね、私。でも、海棠くんが妹のマユミのことそれほどまでに想っているのに、ケニーと幸せになることを願って、マユミの本当の幸せを祈ってることを知ったら、自分のやったコトが急に恥ずかしくなってきちゃった……」

「アヤカ……」

「もう、何言ってるかわからないよね……」

「人の心は自分の思い通りにはならないよ。なかなか」
「信じてもらえないかもしれないけど、私、海棠くんのことが、ずっと
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