暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
気が柄を越えシャナの腕にまで達し、熱疲労でその皮膚が引き裂かれる瞬間。
「ムゥンッ!」
 胸元のペンダントを中心にして巻き起こった柔らかな炎が、
一瞬でシャナの躰を包み込んだ。
 冷気で柄に張り付いた皮膚を、アラストールが 『浄化の炎』 で解き剥がした。
「!」
 アラストールに意識がそれたDIOの手から刀身を引き抜くと、
シャナはその手の温度の上がった部分を足場にして背後に跳躍し
軽やかに宙返りをして距離を取った。
「ありがと。アラストール」
 水滴に濡れた手を黒衣で拭い、同じく透明な水で濡れた大太刀を
構え直しながらシャナは言う。
「今のが、彼奴(きやつ)の躯を流れる 『幽血(ゆうけつ)』 の能力(チカラ)、その一端か。
油断するな。まだどんな能力(チカラ)を隠し持っているのか予測がつかん」
「解ってる」
 シャナは短く言うと刀身に付いた水滴を一振りで全て叩き落とした。
「……クククククククク、100年間も眠っていたので忘れていたよ。
己の能力(チカラ)を存分に開放する事の出来る、この得も言われぬ充足感。
久しく戦いから離れていたので血が(たぎ)るというやつか? フフフフフ……
凍てついた私の血も、君の炎に(あぶ)られてどうやら()け始めたようだ」
 DIOはその悪の華と呼ぶに相応しき美貌に邪悪な微笑を浮かべる。
「もっと()べてくれ。深海の底で凍てついた私のこの心に。
君の炎を。君の熱を」
 そう言うとDIOは超低温の冷気に覆われた両手を差し出し、
緩やかに構えを執る。
 その構えは、華麗にて美しくそして流絶な力強さを併せ持っていた。
 そしてそれに劣らぬ畏怖も。
 それは、シャナの両手に握られている贄殿遮那と全く同じ戦慄の美。
 否、威圧感だけならソレを上回った。
「さあッ! 手合わせ願おうかッッ!!」 
 そう叫ぶとDIOはいきなりアスファルトが陥没するほど
地面を強く蹴りつけ、一瞬でシャナの眼前に迫った。
「!!」



「UUUUUUUURYYYYYYYYYYYY――――――――ッッッッッッ!!!!!!」




 周囲のビルのガラスに罅が走るような狂声を上げながら、
シャナの黒衣を纏った躰に向け凍った掌で()き手の連打を繰り出してくる。
 着痩せして見えるその細身の躯からは想像もつかない、
途轍もない怪力の籠もった撃ち込み。
 だが、「砕く」 事を目的とした動作ではない、
明らかに 「掴む」 事を念頭に()いた撃ち方だ。
 どこでもいいからシャナの躰の一部を掴み、
先刻の冷気で全身を凍りつかせる為に。
「ッッくぅ!」
 素早く複雑な軌道を描く精密な足(さば)きで、
シャナはその躰を高速で反転させな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ