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第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#9
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王 〜Darker Than Darkness〜
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に靡く黒衣にそれを纏わせた。
(この男が! 全ての元凶! 数多くの王を下僕に()いた! 全ての根元ッ!)
 燃え上がる使命感にDIOを見つめる瞳が灼熱の煌めきを増し、
髪から鳳凰の羽ばたきのように火の粉が舞い上がる。
(討滅! 討滅する!!)
 足元のコンクリートを鋭く踏み切り、紅い弾丸のように飛び出したシャナは
DIOの首筋に向けて空間に残像が映るほど高速の袈裟斬りを繰り出した。
 周囲の空気を切り裂きながら、星形の痣が刻まれた首筋に迫る白銀の刃。
 意外。
 DIOはソレを、あっさりと右手で受け止めた。
 戦慄の美で光る刀身が手の平の肉を音もなく切り裂き、骨に食い込む。
「ッッ!?」
 驚愕。 
 全身が燃えるように猛っていても、シャナの頭の中はクールに冷め切っていた。
 まさか “手で” 受け取めるとは思わなかった。 当然避けるものと考えていた。
 その後の攻防の応酬果てに必殺の一撃を頭蓋に叩き込もうと脳裏に
もう数十手先の動きまで構築していたというのに、
最初の一撃で全て計算が狂った。
 速度はあったが様子見程度の撃ち込みだったので、
手は切断されず中程まで食い込み刃はそこで動きを止める。 
 今まで、こんな敵はいなかった。
 どの紅世の徒の中にも。王の中にも。 
“贄殿遮那の一撃を真正面から素手で受け止めた相手は”
(こ、こいつバカ!? このまま刀を引き抜けばッ!)
 刃の切れ味で、指が根刮 (ねこそ)()げ落ちる。
 考えるのとほぼ同時に身体が動いた。
 大刀を掴んだDIOの手を支点にして、
シャナは一瞬の躊躇もなく柄を内側に素早く引き込む。
 だが刀身は動かなかった。
 まるでその場で “凍りついたように” 動きを止めていた。
「貧弱……」
 DIOのその美しい口唇に、絶対零度も凍り付く冷酷な微笑が浮かぶ。
 貴公子の仮面に(ひび)が入り、残虐な本性がその姿を垣間見せた。
「貧弱ゥゥゥゥゥゥッッ!!」
 いきなり、周囲一帯に白い膨大な量の水蒸気が
暴発したボイラーのように巻き起こった。
 大太刀 “贄殿遮那” の刀身を掴んだDIOの手から肘の辺りまでが、
いつのまにか超低温に冷やされた鋼のような質感に変わっていた。
 その腕から発せられる冷気に、周囲の全てが凍り付く。
 大気が凍り大地が凍り、贄殿遮那が凍った。 封絶すら凍った。
「こ、凍るッ!?」
 冷気が刀身を伝達して柄を握るシャナの手にまで侵蝕してくる。
「 『気化冷凍法(きかれいとうほう)使用(つか)うのは実に100年振りだ。
“波紋使い” 以外に使用することもないだろうと想っていたが」
 DIOは渦巻く冷気よりも冷たい微笑を浮かべて、シャナの灼熱の双眸をみつめる。
 冷
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